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紙の出版販売額、今年上期は4・2%増/雑誌はコミックスが好調維持/出版科研調べ
日時: 2021/09/28 15:44:11
情報元: 日書連

出版科学研究所は2021年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の推定販売金額は6445億円で前年同期比4・2%増となった。内訳は書籍が同4・8%増の3686億円、雑誌が同3・5%増の2759億円。電子出版市場は同24・1%増の2187億円になった。

〔文芸書、ビジネス書などがプラスに/書籍〕
新型コロナウイルス感染症の拡大が前年も今年も続いているため、出版科学研究所は「イレギュラーな状況にあり、単純に前年比で数字の実態を読み解くことが難しい」と指摘する。
書籍の販売金額は3686億円、前年同期比4・8%増。文芸書、ビジネス書、児童書、新書などの主要ジャンルがプラスに推移した一方、前年に学校休校の影響で特需にわいた学参や、既存本にヒットが目立った文庫本はマイナスになった。文芸書は文学賞受賞作を中心にヒットが続出して好調に推移。ビジネス書は会話に関する本や自己啓発書のほか、高価格帯の書籍にもニーズが生まれ前年を上回った。児童書は、前年は学校休校による特需があったが、学習図鑑、学習漫画の大型企画の創刊やロングセラーが堅調でプラスになった。
販売部数は、同2・0%増の2億8611万冊。新刊平均価格は同1・6%増の1238円、出回り平均価格は同3・6%増の1243円だった。金額返品率は30・9%で同1・2ポイント改善した。新刊点数は同2・4%増の3万4853点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・2%増の2万3649点、注文扱いが同5・0%増の1万1204点。仕入窓口経由の点数は前年にコロナ禍の影響で大きく減少しており、増加に転じた。
21年上半期のジャンル別動向を見ると、文芸書は前年同期より約10%増と、4年ぶりに前年を上回った。芥川賞受賞の宇佐見りん『推し、燃ゆ』(河出書房新社)がジャンル全体を牽引。本屋大賞受賞作の町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)も好調だった。ビジネス書で最も売れたのは、メンタルに軸足を置いた話し方本『人は話し方が9割』(すばる舎)で、6月に70万部を突破。児童書は、「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」シリーズ(偕成社)がヒット。小学生に人気が高く、20年9月に放映開始したアニメによってさらにブレイクした。

〔定期誌、ムックは部数の減少が続く/雑誌〕
雑誌の販売金額は2759億円で前年同期比3・5%増となり、19年比でも同0・5%増とプラスで推移した。内訳は、月刊誌が同5・7%増の2331億円、週刊誌が同7・2%減の428億円。月刊誌の内訳は定期誌、ムックがそれぞれ同約2%減、コミックスが同約16%増だった。定期誌やムックは前年に緊急事態宣言下で合併号や刊行延期が多かったが、今年は多くの出版社が通常通り刊行したものの、部数規模の減少が顕著だった。コミックスは前年に引き続き映像化作品が大きく伸長し、好調を維持した。
推定発行部数は同0・7%減。内訳は、月刊誌が同1・3%増、週刊誌が同6・3%減。推定発行金額は同1・5%増で、月刊誌は同2・6%増、週刊誌は同3・4%減だった。平均価格は同2・4%増の598円。定期誌は値上げ傾向が続いている。
金額返品率は同1・1ポイント減の40・5%で、月刊誌が同1・8ポイント減の39・8%、週刊誌が同2・3ポイント増の44・0%。コミックスの好調を受けて全体では改善したが、定期誌のみでは月刊誌、週刊誌とも悪化している。コミックスも巣ごもり需要が一巡した4月以降は上昇傾向にある。
創・復刊点数は同1点増の19点、休刊点数は同8点増の61点だった。『JJ』(光文社)、『ミセス』(文化出版局)などが休刊。『日本カメラ』(日本カメラ社)が休刊し、3大カメラ誌が全て姿を消すことになった。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が同25点減の1441点、ムックは同219点減の3020点。1号を1点とした付録添付誌数は同292点減の4842点。

〔紙+電子の出版販売額は8・6%増〕
電子出版の市場規模は2187億円で前年同期比24・1%増、金額で425億円増加した。内訳は、電子コミック(電子コミック誌含む)が同25・9%増の1903億円、電子書籍が同20・9%増の231億円、電子雑誌が同11・7%減の53億円。
前年に巣ごもり需要で拡大したユーザーが定着し、大幅伸長につながった。また、ストア「DMMブックス」が新規登録者限定で最大100冊まで70%オフになるクーポンを配布した影響が大きかった。コミックはスマホで読む習慣が浸透し、高成長を持続。書籍は「DMMブックス」の施策で高額書が売れるなど初めて2割超の伸びを記録した。雑誌は、定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数減少が続き、2桁減になった。
上半期の紙と電子の市場を合わせると8632億円、同8・6%増。市場全体における電子出版の占有率は25・3%となった。
メンテ

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