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紙の出版販売金額4・3%の減/紙と電子合算の販売額は前年比増/出版指標年報
日時: 2020/07/24 17:14:14
情報元: 日書連

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『出版指標年報2020年版』によると、2019年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比4・3%減の1兆2360億円となった。内訳は、書籍が同3・8%減の6723億円、雑誌が同4・9%減の5637億円。電子出版は同23・9%増の3072億円と大きく成長し、紙と電子を合算した販売金額は同0・2%増の1兆5432億円と、14年の電子出版統計開始以来、初めて前年を上回った。

〔ビジネス書、新書が前年上回る/書籍〕
書籍の推定販売金額は6723億円、前年比3・8%減。文庫本の縮小が続いたことに加え、文芸、生活実用書、学参などが低調で、前年よりマイナスが拡大した。一方、ベストセラーが多かったビジネス書、新書は前年を上回り、児童書も健闘した。推定販売部数は同5・1%減の5億4240万円で、販売金額以上に減少幅が大きかった。
19年のベストセラーをみると、シニア向けの生き方本、自己啓発書、実用的な内容のビジネス書、タレント写真集などが売れ筋で、1年以上コンスタントに売れ続けるものが多かった。18年に死去した女優・樹木希林の関連書は、150万部に達した『一切なりゆき』(文春新書)を筆頭に各社から刊行が相次いだ。
金額返品率は35・7%で同0・6ポイント改善。販売ロスを避けるため初版・重版部数ともに発行を抑制する動きが進んでいる。
新刊点数は7万1903点で同242点増。内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が同2・8%(1438点)減の4万9421点、注文扱いの新刊が同8・1%(1680点)増の2万2482点だった。取次仕入窓口経由は7年連続の減少。新刊推定発行部数は同5・2%減の2億9582万冊と大きく減少した。
ジャンル別動向をみると、文芸書は、売行きは全体的に低調だったものの話題作は登場しており、最も売れたのは本屋大賞を受賞した瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)で、42万部に伸長した。ビジネス書は年間を通して好調なタイトルが多く、特に『メモの魔力』(幻冬舎)と『FACTFULNESS』(日経BP発行、日経BPマーケティング発売)はともに40万部を突破した。
文庫本は販売金額が同4・8%減と厳しい状況が続く。小野不由美「十二国記」シリーズ(新潮文庫)の18年ぶりの新刊が発売され話題を集めた。新書は『一切なりゆき』のほか、『妻のトリセツ』(講談社+α新書)などが目立った売行きを示した。児童書は2年連続でプラスに。「おしりたんてい」(ポプラ社)が大ヒットシリーズに成長し、ジャンル全体を牽引。子ども向け法律書『こども六法』(弘文堂)は各メディアでの紹介が相次ぎ、50万部まで伸ばした。
19年の単行本総合ベスト10は次の通り。(1)一切なりゆき樹木希林のことば/樹木希林/文藝春秋樹木希林120の遺(2)言死ぬときぐらい好きにさせてよ/樹木希林/宝島社(3)青銅の法/大川隆法/幸福の科学出版(4)新・人間革命(30)(下)/池田大作/聖教新聞社(5)日本国紀/百田尚樹/幻冬舎(6)メモの魔力/前田裕二/幻冬舎(7)妻のトリセツ/黒川伊保子/講談社(8)そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ/文藝春秋(9)FACTFULNESS/ハンス・ロスリングほか/日経BP発行、日経BPマーケティング発売(10)英単語の語源図鑑/清水建二・すずきひろし/かんき出版

〔コミックスの好調で減少幅縮小/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は5637億円、同4・9%減。マイナスは22年連続になった。内訳は月刊誌が同4・2%減の4639億円、週刊誌が同8・1%減の998億円。月刊誌の内訳は、定期誌が同8・6%減、ムックが同7・4%減、コミックスが同6・1%増だった。雑誌全体で、グッズ付録と人気アイドルの起用により単号で売れる傾向がさらに顕著になっている。コミックスは、大手出版社が値上げした影響や、アニメ放映された『鬼滅の刃』(集英社)が大ヒットするなど映像化作品が好調で、前年を上回った。
推定販売部数は同8・0%減の9億7554万冊。内訳は、月刊誌が同6・8%減の7億477万冊、週刊誌が同11・0%減の2億7077万冊。平均価格は同2・6%(15円)増の589円。宝島社の主要女性誌が軒並み定価1千円を超えたほか、主要コミックスの価格引上げなどで大きく上昇した。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同50点減少し3266点。ムックは同468点減の7453点で、刊行抑制の動きが各社で進んでいる。1号を1点としてカウントした付録付き雑誌の点数は同83点増の1万1311点で、2年ぶりに増加した。
総復刊点数は同2点減の58点と、2年連続で過去最低を更新。創刊誌はおよそ半数を分冊百科とパズル誌が占めた。休刊点数は同2点減の127点だった。

〔コミックが牽引し3千億円突破/電子出版〕
電子出版の市場規模は3072億円で、同23・9%増と大幅に伸長した。内訳は、電子コミック(コミック誌含む)が同29・5%増の2593億円、電子書籍が同8・7%増の349億円、電子雑誌が同16・7%減の130億円。紙と電子の出版市場を合わせると1兆5432億円、同0・2%増となった。出版市場全体における電子出版の占有率は19・9%で、同3・8ポイント増加した。
電子コミックは18年4月に海賊版サイト「漫画村」が閉鎖して以降、正規のサイトやアプリが順調に成長を続け、市場全体を大きく牽引している。電子書籍は、電子化点数の増加と比例する形で緩やかに伸長している。電子雑誌は、NTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数減少が続き、2年連続の大幅マイナス。
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