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創業以来初の経常赤字決算/単体の当期純損失55億9200万円/トーハン
日時: 2020/06/24 18:43:35
情報元: 日書連

トーハンは5月29日、第73期(2019年4月1日~20年3月31日)決算概況を発表。単体売上高は前年比3・5%減の3834億8900万円と減収ながら計画をほぼ達成し、効率販売に一定の成果をあげた。しかし運賃が想定以上に上昇して取次事業を圧迫し、創業以来初の経常赤字を計上。繰延税金資産の取り崩しが発生したため、単体の当期純損失は55億9200万円となった。
記者会見で小野晴輝専務は「物流費用の高騰と新本社建築費用の発生により年度当初から厳しい決算を見込んでいたが、第4四半期に新型コロナウイルス感染拡大の影響で出版社の刊行計画変更や書店休業が発生、3月に予定していた大型の取引開始が次期にずれ込んだこともあり、さらに厳しい決算となった」と説明したうえで、「繰延税金資産の取り崩しはキャッシュフローには影響せず、経営の実質面では堅調を維持している。しかし大きな赤字であり、役員一同は重大な事態と受け止めている。この状況を打開するためにも効率販売、マーケットイン流通の実現に取り組んでいくが、業界全体でコストバランスの見直しが必要と考えている」と述べた。
トーハンの単体売上高3834億8900万円の内訳は、書籍が同1・7%減の1670億100万円、雑誌が同5・6%減の1257億4500万円、コミックが同7・7%増の473億4400万円、MM(マルチメディア)商品が同13・9%減の433億9700万円。
売上総利益は同4・1%減の444億8400万円、営業利益は同53・8%減の19億7600万円、経常損失は4億7200万円(前年は21億3900万円の利益)、当期純損失は55億9200万円(前年は6億5200万円の利益)。
事業別に経常損益概況をみると、取次事業が19億9200万円の赤字。このうち7億円は本社再構築・物流再配置に伴う新規費用によるもので、それを差し引いても約13億円の赤字となった。この他、不動産事業が13億5200万円の利益、新規事業が1億1200万円の赤字、株式配当金が2億7700万円の利益。
返品率は、前年比1・1ポイント減の39・6%となった。内訳は、書籍が同1・9ポイント減の38・9%、雑誌が同0・3ポイント減の48・2%、コミックが同3・4ポイント減の26・7%、MM商品が同1・8ポイント増の19・6%。
連結決算は、連結子会社を16社から28社に、持分法適用関連会社を5社から12社に拡大。売上高は4082億4900万円、前年比2・1%減となった。営業利益は同66・1%減の13億1900万円、経常損失は14億5700万円(前年は18億1900万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は59億8500万円(前年は5億3100万円の利益)。物流系子会社は、業務委託料及び運賃の改定の影響もあり、4社のうち3社で黒字決算。書店系子会社は、売上が伸び悩む中で経費のコントロールに取り組み、連結13社の単純合算では経常黒字を計上した。
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