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河出書房新社 第56回文藝賞/宇佐見氏『かか』、遠野氏『改良』に
日時: 2019/11/23 12:15:28
情報元: 日書連

河出書房新社が主催する第56回文藝賞は、宇佐見りん氏『かか』、遠野遥氏『改良』に決まり、10月11日に東京・港区の明治記念館で贈呈式を開催した。
贈呈式では、選考委員を務めた磯ア憲一郎氏、斎藤美奈子氏、町田康氏、村田沙耶香氏が講評を行った。受賞者あいさつで宇佐見氏は、「小説を通じて誰かと手をつなぐことはできないが、手形として残すことはできる。それは醜いかもしれないし未発達かもしれないが、皆が手を取り合い、振り払い、またつなぎながら歩んでいく社会で、ふと空いてしまった手を合わせてみることのできる手形があるとしたら、それは意義のあることだと感じる。多くの作家が残してきた手形の中にこの作品が加われることをうれしく思う」と喜びを語った。
遠野氏は「小説を書き始めたのは6、7年前で、誰かに読んでもらうこともなく、特に不満はなかった。この賞の最終選考に残って編集者の方に感想を聞き、自分では気づかなかった発見があり、他人に小説を読んでもらうのはすごく面白いことだと思った。文藝賞は注目度が高く、より多くの人が読んでくれるので非常にうれしい」と話した。
主催者あいさつで小野寺優社長は、季刊文芸誌『文藝』が今年の夏季号から誌面を刷新し、秋季号が3刷、今回の受賞作が掲載されている冬季号が重版となったことに言及して、「きっかけがあり、情報がきちっと伝われば、文芸誌をこれだけの人が手に取ってくれる。文芸誌だからこそ発信できることがある。文学に期待する人がたくさんいることを改めて知ることができた。今回受賞した2作が、『文藝』を新しく手に取ってくれた読者にどのように読まれていくのか楽しみだ」と述べた。
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