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出版販売金額6・9%減少/雑誌が初めて2桁マイナスを記録/出版指標年報
日時: 2018/05/18 18:08:53
情報元: 日書連

全国出版協会・出版科学研究所が発行した『2018年版出版指標年報』によると、2017年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比6・9%減の1兆3701億円となった。内訳は、書籍が同3・0%減の7152億円、雑誌が同10・8%減の6548億円。販売金額のマイナスは13年連続で、減少幅は過去最大となった。また、雑誌の売上は初めて2桁マイナスを記録した。

〔市場は縮小するも話題書相次ぐ/書籍〕
書籍の推定販売金額は7152億円で、前年比3・0%減少。11年連続のマイナスになり全体では伸び悩んだものの、爆発的な売行きを示した話題書が多く登場した。文芸書や学参、教養新書の売行きは前年を上回り、児童書も前年の水準を保った。一方、文庫本やビジネス書、実用書は前年実績を下回った。
推定販売部数は同4・2%減の5億9157万冊と6億冊を割り込んだ。特にここ数年は、販売部数で3割近くを占める文庫本の低迷が大きく影響している。
金額返品率は36・7%で同0・2ポイント減。新刊配本部数の適正化とともに、重版も市場の実勢に合わせて小まめに行ったことで返品率を引き下げ、3年連続で改善した。
新刊点数は7万3057点で同2・6%(1982点)減。内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が同3・7%減の5万1536点、注文扱いの新刊が同0・1%増の2万1521点だった。取次仕入窓口経由の減少は5年連続で、特に文庫本や小・中学生向け学参の減少が目立った。新刊推定発行部数は同2・4%減の3億1443万冊。
ジャンル別動向をみると、文芸書は、村上春樹の7年ぶりの長編小説『騎士団長殺し(第1部・第2部)』(新潮社)や、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)など上半期を中心に大部数のヒットが相次いだ。『君の膵臓をたべたい』(双葉社)や『コーヒーが冷めないうちに』(サンマーク出版)は息の長いヒットを続けた。
ノンフィクション・読み物では、吉野源三郎の名著をコミカライズした『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が異例の大ヒットを記録、年末には95万部に到達し、年明けにはミリオンを突破した。文庫本は既刊の販売不振が続き17年も苦戦。カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、早川書房の既刊文庫が年後半に大きく動いた。新書は『応仁の乱』(中公新書)などヒットが続き復調の1年となった。
児童書の売行きは微減。『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)が大ヒットし、切り口が似た書籍の刊行が相次いだ。学参は「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)がブームに。同シリーズを除いても前年を上回る売行きで、小中高校学参いずれも好調に推移した。
17年の単行本総合ベスト10は以下の通り。<1>九十歳。何がめでたい/佐藤愛子/小学館<2>蜜蜂と遠雷/恩田陸/幻冬舎 <3>伝道の法/大川隆法/幸福の科学出版 <4>儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇/ケント・ギルバート/講談社 <5>騎士団長殺し(第1部顕れるイデア編・第2部遷ろうメタファー編)/村上春樹/新潮社 <6>応仁の乱/呉座勇一/中央公論新社 <7>新・人間革命(29)/池田大作/聖教新聞社 <8>はじめての人のための3000円投資生活/横山光昭/アスコム<9>コーヒーが冷めないうちに/川口俊和/サンマーク出版 <10>君の膵臓をたべたい/住野よる/双葉社

〔コミックスの落込み響き大幅減/雑誌〕
雑誌の推定販売金額は6548億円、前年比10・8%減と初の2桁減を記録し、20年連続のマイナスとなった。内訳は、月刊誌が同11・1%減の5339億円、週刊誌が同9・2%減の1209億円。月刊誌は、定期誌が同9・3%減、ムックが同9・6%減、コミックスは同15・4%減となり、コミックスの大幅減が雑誌全体の下げ幅拡大に拍車をかけた。
推定販売部数は同12・2%減の11億9426万冊。内訳は、月刊誌が同12・7%減の8億5062万冊、週刊誌が同10・9%減の3億4364万冊。推定発行部数は同8・5%減の20億5453万冊。推定発行金額は同7・1%減の1兆1631億円だった。平均価格は同1・4%(8円)増の566円と上昇を続けている。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同6・3%(235点)減の3478点、ムックが同3・1%(278点)減の8554点。1号を1点とカウントした付録付き雑誌点数は、同1・7%増の1万2200点で、減少傾向にあったが再び増加した。
年間の創復刊点数は同4点減の69点で、分冊百科とパズル誌で半数以上を占めたが、そのほかでは女性誌の創刊が比較的目立った。休刊点数は同18点減の107点。『小学二年生』などジャンルを代表する雑誌が多数休刊し、Webメディアに移行する雑誌も多く見られた。雑誌の発行銘柄数は同80点減の2897点と11年連続減少。

〔コミックは成長続くが伸び鈍化〕
電子出版の市場規模は2215億円で、同16・0%増、金額で同306億円増加した。内訳は、電子コミックが同17・2%増の1711億円、電子書籍が同12・4%増の290億円、電子雑誌が同12・0%増の214億円。紙と電子の出版市場を合わせると1兆5916億円、同4・2%減になった。
コミックは伸長を続けているものの、伸び率は縮小した。無料または割引などの価格施策を各社がこぞって実施して飽和状態になりつつあるほか、違法海賊版サイトの横行で被害が拡大したことも鈍化の一因となった。雑誌は定額読み放題サービス「dマガジン」の会員数減により前年の大幅な伸びには及ばなかった。
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