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6・9%減の1兆3701億円/2017年紙の出版物販売額/出版科研調べ
日時: 2018/02/28 11:44:04
情報元: 日書連

出版科学研究所は2017年の出版物発行・販売概況を発表した。これによると紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比6・9%(1008億円)減の1兆3701億円。減少幅は過去最大で、13年連続のマイナスになった。販売金額の内訳は、書籍が同3・0%減の7152億円、雑誌が同10・8%減の6548億円。雑誌はコミックスの落ち込みが響き初の2桁減を記録した。
書籍の推定販売金額は前年比3・0%(218億円)減の7152億円。文芸書や学参、児童書では話題書が多く、大きく売れた書籍もあったが、文庫本、ビジネス書、実用書などは前年を下回り、全体ではマイナスになった。17年のベストセラーをみると、テレビや新聞など各メディアで紹介され、出版社がプロモーションに力を入れた書籍が売れる傾向が目立った。児童書、学参では、「うんこ漢字ドリル」シリーズ(文響社)など社会現象となるヒット作が登場した。
新刊点数は7万3057点で、同2・6%(1982点)減。内訳は、取次仕入窓口経由が同3・7%減の5万1536点、注文扱いが同0・1%増の2万1521点。取次仕入窓口経由は5年連続のマイナスで、特に文庫本や小・中学生向け学参の点数減が目立った。
出回り平均価格は、同1・3%(15円)増の1153円と、価格の低い文庫本の減少もあって4年続けて上昇。新刊平均価格は同0・4%(5円)増の1167円で、図鑑や児童書で価格上昇がみられた。金額返品率は36・7%で同0・2ポイント改善。新刊送品を抑制し、重版部数も市場に見合った規模で細かく調整する出版社が増えており3年連続の改善となった。
ジャンル別動向をみると、文芸書では村上春樹の新刊『騎士団長殺し(第1部・第2部)』(新潮社)、直木賞と本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)、『九十歳。何がめでたい』(小学館)など、上半期を中心に大部数のヒットが相次いで生まれた。ノンフィクション・読み物では、吉野源三郎の名著をコミカライズした『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が大ヒットを記録、年明けにはミリオンを突破した。文庫本は、既刊の販売不振が続いて17年も苦戦。カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞し、早川書房の既刊文庫が年後半に大きく動いた。新書は、『応仁の乱』(中公新書)などヒットが続出し、復調の1年となった。
雑誌の推定販売金額は同10・8%(791億円)減の6548億円。1998年以来減少を続け、17年は初の2桁減になった。内訳は、月刊誌が同11・1%(670億円)減の5339億円、週刊誌が同9・2%(122億円)減の1209億円。月刊誌は、定期誌が約9%減、ムックは約10%減、コミックス(単行本)は約13%減で、定期誌・ムックがさらに落ち込む中、コミックスの大幅減が雑誌全体のマイナス拡大に拍車をかけた。コミックスの低迷は、人気作品の完結、既刊本や映像化作品の不振、新規ヒット不足など多くの要因が重なっている。
推定販売部数は同12・2%減の11億9426万冊。内訳は、月刊誌が同12・7%減の8億5062万冊、週刊誌が同10・9%減の3億4364万冊。平均価格は同1・4%(8円)増の566円で上昇傾向が続いている。金額返品率は同2・3ポイント増の43・7%と大幅に悪化した。内訳は、月刊誌が同2・4ポイント増の44・6%、週刊誌が同1・8ポイント増の39・3%。
創復刊点数は同4点減の69点で、分冊百科とパズル誌が半数以上を占める。休刊点数は同18点減の107点。不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同235点減の3478点、ムックは同278点減の8554点。1号を1点とカウントした付録つき雑誌の刊行点数は同約200点増の1万2200点となり、14年以降減少が続いていたが再び増加した。
部門別に推定発行部数をみると、〈女性〉は同7・0%減で、どの世代向けも厳しい状況だったが、コスメグッズを付録につける美容誌は絶好調で部数を伸ばした。〈男性〉は同7・2%減。全体的に低調で、特に若者向けが厳しい。〈週刊誌〉は同8・3%減で、コミック誌の減少が響いたほか、総合週刊誌も前年スクープを連発した反動で売れ行きが落ち込んだ。
電子出版の市場規模は2215億円で、同16・0%増、金額で306億円増加した。内訳は、電子コミックが同17・2%増の1711億円、電子書籍が同12・4%増の290億円、電子雑誌が同12・0%増の214億円。コミックは、無料または割引などの価格施策が依然盛んに行われ、出版社発のマンガアプリも市場を牽引しているが、違法海賊版サイトの影響等もあって前年の伸びには及ばなかった。
紙と電子の出版市場を合わせると1兆5916億円、同4・2%減。市場全体における電子出版の占有率は13・9%で同2・4ポイント増加した。
メンテ

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