出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

3・4%減の1兆4709億円/2016年紙の出版物販売額/出版科研調べ
日時: 2017/02/18 12:55:01
情報元: 日書連

出版科学研究所は2016年の出版物発行・販売概況を発表した。これによると紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比3・4%(511億円)減の1兆4709億円で12年連続のマイナスになった。1兆4千億円台を記録したのは1981年以来のこと。書籍は同0・7%減の7370億円、雑誌は同5・9%減の7339億円となり、雑誌が書籍の売上を41年ぶりに下回った。
書籍の推定販売金額は前年比0・7%(49億円)減の7370億円で、10年連続の前年割れとなったが、小幅のマイナスにとどまった。年間を通してベストセラーがコンスタントに出現し、長く売れる作品が多かった。ミリオンセラーは、出版科学研究所の年間単行本総合ランキングでは、『ハリー・ポッターと呪いの子』(静山社)が唯一達成した。また、児童書、実用書、学習参考書など好調なジャンルが多く、全体の伸びに寄与した。
新刊点数は7万5039点で、同1・8%減。内訳は、取次仕入窓口経由が同1・3%減の5万3538点、注文扱いが同3・2%減の2万1501点。取次仕入窓口経由は4年連続のマイナスで、特に文庫本の減少が目立った。
出回り平均価格は、同0・9%(10円)増の1138円と3年連続の増加。文庫本の販売状況の低調が響いた。新刊平均価格も同1・5%(17円)増の1162円と上昇した。金額返品率は同0・3ポイント改善し36・9%。店頭での堅調な販売状況や、取次各社が送品の引き締めを継続している効果で、2年続けての改善となった。
ジャンル別動向をみると、文芸書では、『天才』(幻冬舎)が田中角栄ブームをリードして92万部に到達。芥川賞受賞の『コンビニ人間』、本屋大賞受賞の『羊と鋼の森』(ともに文藝春秋)など文学賞受賞作に前年に続きヒットが生まれた。佐藤愛子、瀬戸内寂聴など高齢作家のエッセイも人気を博した。文庫は定番人気作家の作品は強いものの、既刊の不振が深刻。
雑誌の推定販売金額は同5・9%(462億円)減の7339億円となり、19年連続のマイナスとなった。内訳は、月刊誌が同5・3%(337億円)減の6009億円、週刊誌が同8・5%(123億円)減の1331億円。
推定販売部数は同8・0%減の13億5990万冊。内訳は、月刊誌が同7・3%減の9億7417万冊、週刊誌が同9・8%減の3億8573万冊。平均価格は同2・2%(12円)増の558円。内訳は、月刊誌が同1・9%(12円)増の631円、週刊誌が同1・7%(6円)増の356円と上昇が続く。金額返品率は同0・4ポイント減の41・4%で、送品を大幅に絞ったことや、コンビニでの販売状況がやや回復したことから改善した。
創復刊点数は同3点減の73点で、分冊百科、パズル誌、アダルト誌が大半を占める状況が続く。休刊点数は同8点増の125点。『Gainer』(光文社)などメジャー誌の休刊が相次いだほか、電子版に完全移行する雑誌も複数みられた。不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同205点減の3713点、ムックは同398点減の8832点。1号を1点とカウントした付録つき雑誌の刊行点数は同377点減の1万2000点と減少傾向が続く。
部門別に推定発行部数をみると、〈女性〉は同8・2%減で、20代だけでなく30〜50代も部数を減らすなど低迷した。〈男性〉は同6・0%減。女性誌と同様にストリートファッション誌が厳しく、ミドルエイジ向けも低調だった。〈趣味〉は同4・6%減で、年齢層の高い雑誌でも落ち込みが激しかった。
電子出版の市場規模は1909億円で、同27・1%増、金額で407億円増加した。内訳は、電子コミックが同27・1%増の1460億円、電子書籍が同13・2%増の258億円、電子雑誌が同52・8%増の191億円。電子雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の売上占有が大きく、約150億円程度とみられる。
紙と電子の出版市場を合わせると1兆6618億円、同0・6%減。市場全体における電子出版の占有率は11・5%で同2・5ポイント増加した。
メンテ

Page: 1 |