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京都本大賞に望月麻衣氏『京都寺町三条のホームズ』
日時: 2016/11/09 18:10:20
情報元: 日書連

過去1年間に刊行された京都を舞台にした小説の中から地元の人に読んで欲しい作品を決める「第4回京都本大賞」の授賞式が10月5日、京都市中京区の京都書店会館で開かれ、望月麻衣氏の『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)が大賞に選ばれた。
この賞は、京都府内の書店、取次、出版社などで構成する京都本大賞実行委員会が主催。実行委員が選んだ最終ノミネート作品から、書店員および読者の投票で決定するもの。京都組合ホームページで投票すると1ポイント、組合加盟書店の店頭で投票すると5ポイントが加算される仕組み。今回は最終ノミネート3作品のうち、『京都寺町三条のホームズ』が2位を10倍近く引き離す2141票を獲得した。総得票数は2551票だった。
『京都寺町三条のホームズ』は、京都の寺町商店街の骨董品店を舞台に、女子高生が「寺町のホームズ」と呼ばれる店主の息子とともに、客から持ち込まれる奇妙な依頼を解決するミステリー。小説投稿サイトで連載された後、双葉文庫から刊行された。
北海道出身で京都在住の望月氏は「京都人の夫と結婚した際、小説の舞台となった寺町三条付近の商店街にある色々な店を見て、活気と歴史ある独特な雰囲気にカルチャーショックを受けた。3年以上、趣味と取材を兼ねて寺社仏閣を見ているが、まだまだ回りきれない。京都人は地元を誇りに思っていて素敵だと思う。よそ者の目線で京都のことを面白おかしく書くことができた」とあいさつし、受賞記念の盾と賞状が贈られた。
「第3回京都ガイド本大賞」「第2回京都ガイド本リピーター賞」も発表された。
京都ガイド本大賞は『ひとりで歩く京都本』(京阪神エルマガジン社)が受賞した。賑やかな観光地ではなく、一人でマイペースで歩くからこそ楽しい店・寺・街を網羅したムック。同社の中村正史取締役編集本部長は「非常に良い出来で、出版した甲斐があった。来年に向けてV2を狙いたい」と抱負を語った。
リピーター賞は梅林秀行氏の『京都の凸凹(でこぼこ)を歩く』(青幻社)が選ばれた。京都の出版社と京都出身の著者によるディープな京都マニア・上級者向けの玄人本。有名テレビ司会者も「京都街歩きの達人になれる本」と絶賛した。梅林氏は「世界的に有名になった京都の真のリピーターは、京都の住民に他ならない。京都人にこそ読んでほしかったので、今回受賞することができて良かった。この本では有名なスポットを訪ねたりしない。そこに住む人たちが刻んできた生活の風景や歴史、色々な記憶や感じ方と、読者の主観がうまく凸凹を削ることで、京都の人がどんな風に生きてきたかがつながる。その瞬間を感じた読者が僕に語る数字(順位)だと思う」と話した。
(若林久嗣広報委員)
メンテ

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