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紙の出版販売金額、今年上期は2・7%減/出版科研調べ
日時: 2016/09/03 21:38:23
情報元: 日書連

出版科学研究所は2016年上半期(1〜6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の販売金額は前年同期比2・7%減の7701億円で、書籍は同1・6%増の4064億円と前年を上回ったが、雑誌は同7・1%減の3637億円と大きく減少した。
書籍の販売金額は前年同期比1・6%増の4064億円で、前年の上半期の2・3%減からプラスに転じた。今年はメディアでの紹介を機にブレイクした大部数のベストセラーがコンスタントに出現し、全体を底上げした。また文芸、学参、児童、実用書など好調なジャンルが多く、推定販売部数も同1・6%増の3億3732万冊と伸長した。
新刊平均価格は、同1・9%増の1181円、出回りで同0・2%増の1141円。比較的低価格の文庫本の売れ筋が少なく、出回り量が減ったため、新刊、出回りともに平均価格は上昇した。金額返品率は34・3%で同1・0ポイント改善した。
新刊点数は同1・5%(603点)減の3万8373点で、このうち取次仕入窓口経由が同0・2%(66点)減の2万7086点、注文扱いが同4・5%(537点)減の1万1287点。取次仕入窓口経由は4年連続のマイナスで、特に新書、文庫の点数減が目立っている。
16年上半期は、『天才』(幻冬舎)や本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』(文藝春秋)、Web小説発の『君の膵臓をたべたい』(双葉社)など文芸書のヒットが相次いだ。ノンフィクションでは、13年に発売された『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が複数のテレビ番組で取上げられた影響で再ブレイク。2月にはミリオン超えを果たし、6月時点で135万部に達した。ロングセラーになった『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)をはじめ、自己啓発書や生き方本も好調を続けている。
実用書では、スウェーデン発の寝かせつけ絵本『おやすみ、ロジャー』(飛鳥新社)がテレビで紹介されてヒットし、累計75万部に到達した。児童書は、絵本、学習漫画、図鑑、児童文庫、読み物などいずれのジャンルも好調で、児童書に参入、または強化する出版社が増加した。
一方、文庫は定番人気作家の新刊は売れるものの、既刊の不振が継続。新書は新たなトレンドに恵まれず、販売状況が大幅に落ち込んだ。
雑誌の販売金額は3637億円で前年同期比7・1%減となり、2011年同期の6・7%減を超える過去最大のマイナスを記録した。内訳は、月刊誌が同6・8%減の2960億円、週刊誌が同8・1%減の676億円。月刊誌は、定期雑誌が約8%減、ムック約5%減、コミックス約5%減となり、定期誌の落ち込みが目立つ。
推定発行部数は同9・2%減。内訳は、月刊誌が同8・4%減、週刊誌が同11・4%減と、抑制傾向にある。推定発行金額は同7・9%減で、月刊誌は同7・4%減、週刊誌は10・2%。ここ2年週刊誌の急落が目立っている。
平均価格は同1・5%増の554円で、月刊誌は同1・1%増の627円、週刊誌は同1・1%増の353円と値上がり傾向が続く。金額返品率は同0・5ポイント減の42・0%と、6年ぶりに改善した。内訳は月刊誌が同0・3ポイント減の43・1%、週刊誌が同1・5ポイント減の36・7%で、週刊誌は送品が10%以上減少したことに伴い大きく改善した。
創刊点数は同5点増の41点。推定発行部数は同29・3%増で、分冊百科の部数が大きかった。一方、休刊誌は同15点増の72点で、推定発行部数は同44・5%増。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が1817点で同103点減少。ムックの新刊点数は同277点減の4386点だった。1号を1点とカウントした付録添付数は、同343点減の5889点。
雑誌で売れたのは40代以上の読者向けの企画が中心で、若年読者の獲得は厳しい状況になっている。創刊誌は分冊百科とパズル誌で半数を占め、ファッション誌やライフスタイル誌などの大型創刊企画はなかった。女性誌は10〜20代向けが縮小し、付録つきのミドルエイジ向けファッション誌が伸長した。
なお、出版科学研究所は2015年(暦年)から電子出版の市場規模を調査範囲に加え、発表を開始。これによると、16年上半期の電子出版販売金額は847億円で前年同期比28・9%増、金額で同190億円増加した。内訳は、電子コミックが同26・2%増の633億円、電子書籍が同16・2%増の122億円、電子雑誌が同76・9%増の92億円。電子雑誌は「dマガジン」が市場の大部分を占めており、同サービスの売上の伸びが影響し、前年並みの大幅な伸長を示した。
上半期の紙と電子の出版市場を合わせると8548億円、同0・3%減。市場全体における電子出版の占有率は9・9%で同2・2ポイント増加した。
メンテ

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