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5・3%減の1兆5220億円/2015年出版物販売金額/出版科研調べ
日時: 2016/02/17 18:12:11
情報元: 日書連

2015年の出版物の推定販売金額は前年比5・3%(845億円)減の1兆5220億円になったことが出版科学研究所の調べで明らかになった。前年割れは11年連続で、昨年の4・5%減を上回る過去最大のマイナスを記録した。書籍は文芸書にヒット作が相次ぎ、同1・7%減と小幅な落ち込みにとどまったが、雑誌は同8・4%減と過去最大のマイナスだった。
書籍の推定販売金額は前年比1・7%(125億円)減の7419億円と、消費税増税で大きく落ち込んだ14年に対し小幅なマイナスにとどまったが、9年連続の前年割れとなった。年間を通して各ジャンルでヒット作が登場し、特に文芸書が健闘。その中心となったのが芥川賞を受賞した『火花』(文藝春秋)で、累計240万部超の大ヒットを記録。出版科学研究所の年間単行本総合ランキングでは唯一のミリオンセラーとなった。
新刊点数は7万6445点で前年と同じ水準。このうち取次仕入窓口経由が同1・7%減の5万4235点、注文扱いが同4・3%増の2万2210点。取次仕入窓口経由は特に新書の減少が目立ち、3年連続のマイナスになった。
出回り平均価格は、同1・1%(12円)増の1128円と2年連続の大幅増。文庫本の販売状況が低迷したことが大きく影響した。金額返品率は同0・4ポイント改善し37・2%。大ベストセラーの出現で販売状況が改善したことと、取次各社が新刊配本の引き締めを継続的に行っていることが奏功した。
ジャンル別動向をみると、文芸書では『火花』をはじめ、芥川賞同時受賞の『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)、直木賞受賞の『流』(講談社)、『サラバ!』(小学館)など文学賞受賞作にヒットが相次いだ。一方で文庫は、東野圭吾、池井戸潤など定番人気作家の作品は売れ行き上位にあるが、新刊のヒット作不足に加え、既刊本の低迷が深刻な状況にある。
雑誌の推定販売金額は前年比8・4%(719億円)減の7801億円と過去最大の落ち込みを記録し、18年連続のマイナスとなった。内訳は、月刊誌が同7・2%減の6346億円、週刊誌が同13・6%減の1454億円。
推定販売部数は同10・5%減の14億7812万冊。内訳は、月刊誌が同8・7%減の10億5048万冊、週刊誌が同14・6%減の4億2764万冊で、週刊誌は初めて2桁の大幅減を記録した。平均価格は同2・6%(14円)増の546円。内訳は、月刊誌が同2・0%(12円)増の619円、週刊誌が同1・2%(4円)増の350円。金額返品率は同1・8ポイント増の41・8%。売行きが悪化する中で供給調整が追い付かなかった。
創復刊点数は同17点減の70点で4年連続の100点割れ。創刊部数は同46・5%減。また、休刊点数は同52点減の117点で、休刊部数は同44・7%減。雑誌銘柄数は同101点減の3078点となった。
不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同6・7%減の3918点、ムックは同1・1%減の9230点だった。1号あたりを1点とカウントした付録添付誌数は同4・6%減の1万2377点で、付録も抑制する動きが目立った。
部門別に推定発行部数をみると、〈女性〉は同8・0%減。20代雑誌の多くが大幅減となったが、30歳前後をターゲットにしたアラサー雑誌『CLASSY.』『andGIRL』が好調だった。〈男性〉は同8・9%減で、ミドルエイジ向けファッション誌は好調だったものの若者向けファッション誌の部数減が続いた。
なお、出版科学研究所は2015年から電子出版市場の独自推計を開始。これによると15年の電子出版市場規模は1502億円で前年比31・3%増、金額で同358億円増加した。内訳は、電子コミックが同30・3%増の1149億円、電子書籍が同18・8%増の228億円、電子雑誌が同78・6%増の125億円。紙と電子の出版市場を合わせると1兆6722億円、同2・8%減。電子出版の占有率は9・0%で同2・4ポイント増加した。
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