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【 出版販売金額3・8%減少  出版科学研究所】
日時: 2012/06/05 18:38:25
情報元: 日書連

出版科学研究所が発行した『2012年版 出版指標年報』によると、2011年の取次ルートを経由した出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は前年比3・8%減の1兆8042億円となった。

内訳は、書籍が同0・2%減の8198億円、雑誌が同6・6%減の9844億円。

書籍はヒット作が続出してほぼ前年並みの水準を保ったのに対し、雑誌は1兆円を割り込み、08年の4・5%減を大幅に上回る過去最大の落ち込みを記録した。

〔販売金額、部数はほぼ前年並み/書籍〕  書籍の推定販売金額は8198億円、前年比0・2%減で、5年連続で前年割れとなった。

しかし、過去4年間のマイナスが1・6〜4・4%減だったのに比べて下げ幅は縮小し、ほぼ前年並みとなった。

大手取次の返品減少を目指した送品量抑制や、出版社・取次・書店の業界3者による販売ルート・販売条件の弾力的な運用、責任販売商品の拡大など、川下への利益配分を重視した流通施策の改善が奏功したことが要因と考えられる。

 推定販売部数は前年比0・3%減の7億13万冊で、7億冊の大台にかろうじて踏みとどまった。

また、出回り平均価格が同0・7%増と8年ぶりに上昇。

読者の低価格志向が依然として続く中で、単行本のベストセラーが数多く生まれ、長期間にわたって売れ続けた影響によるもので、売れる本と売れない本の二極化が進んでいる。

新刊平均価格は同1・5%減の1109円で、3年連続の下落となった。

 金額返品率は前年比1・4ポイント減の37・6%と2年続けて改善した。

これは取次が返品減少対策として、10年から新刊配本の引き締めを続けているため。

 新刊点数は7万5810点で前年比1・5%増加した。

流通ルート別の内訳は、取次仕入窓口経由の新刊が1・6%減の5万6877点。

一方、注文扱いの新刊は12・0%増の1万8933点だった。

注文扱いの新刊が大幅増となったのは、自治体別の公務員・教員採用試験問題集や楽譜類が新たにカウントされたことによるもの。

取次仕入窓口経由の新刊の減少は2年連続で、取次の送品抑制策による新刊部数の絞り込みによって、出版社が採算ベースに合わない新刊刊行を控える傾向が強まっているのが要因とみられる。

 11年のミリオンセラーは『謎解きはディナーのあとで』(155万部)、『心を整える。

』(116万部)、『人生がときめく片づけの魔法』(110万部)、『KAGEROU』(100万部)に加え、『体脂肪計タニタの社員食堂(正・続)』(2点合計259万部)、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(113万部)が2年連続のミリオンを達成した。

 東日本大震災の影響で刊行延期となったケースが少なからず発生したが、被災地域では、確かな情報源、娯楽や心の拠り所として改めて本の価値が見直されるなど、書籍の売上は堅調だった。

ジャンル別動向をみると、文芸はメガヒット作品を除くと全体的に小粒。

新書は5%程度の伸びと好調で、老いと原発関連をテーマにしたものの刊行が相次ぎ、時事ネタものが一段と増えた。

ビジネス・自己啓発本などノンフィクション系は10〜30万部のスマッシュヒットが多数出た。

 11年単行本ベスト10は以下の通り。

 (1)謎解きはディナーのあとで/東川篤哉/小学館(2)心を整える。

/長谷部誠/幻冬舎(3)もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら/岩崎夏海/ダイヤモンド社(4)人生がときめく片づけの魔法/近藤麻理恵/サンマーク出版(5)KAGEROU/齋藤智裕/ポプラ社(6)救世の法/大川隆法/幸福の科学出版(7)くじけないで/柴田トヨ/飛鳥新社(8)謎解きはディナーのあとで(2)/東川篤哉/小学館(9)老いの才覚/曽野綾子/ベストセラーズ(10)新・人間革命(23)/池田大作/聖教新聞社 〔総発行銘柄数は5年連続の減少/雑誌〕  雑誌の推定販売金額は9844億円、前年比6・6%減。

過去最大のマイナス幅で14年連続の減少になった。

内訳は、月刊誌が6・2%減の7729億円、週刊誌が7・8%減の2115億円。

週刊誌の不振は分冊百科の落込みが一因で、分冊百科を除くと約5%の減少。

 推定販売部数は前年比8・4%減と過去最大の落ち込みを記録し、19億8970万冊と20億冊の大台を割り込んだ。

内訳は、月刊誌が同8・3%減の13億3962万冊、週刊誌が同8・6%減の6億5008万冊。

金額返品率は同0・6ポイント増の36・1%で、09、10年と続けて改善していたが震災の影響もあり悪化した。

 年間の創復刊点数は前年より9点増の119点とやや回復したものの、低水準にとどまった。

創刊誌部数は同11・4%減となっており、小部数でマニアックな雑誌の創刊が多かった。

分冊百科は前年より1点少ない28点が創刊。

創刊部数は同32・3%減と部数規模は大幅に縮小した。

10年は初版30万部を超える分冊百科の創刊が6点あったのに対し11年は1点もなかった。

 一方、休廃刊点数は前年比58点減の158点。

雑誌の総発行銘柄数は同77点減の3376点となり、5年連続のマイナスとなった。

エンタテインメント情報誌『ぴあ』や女性ファッション誌『PS』、青年コミック誌『スーパージャンプ』など各ジャンルのメジャー誌が姿を消した。

 『2012年版 出版指標年報』  B5判405頁、頒価1万4千円。

申込みは出版科学研究所まで。

Tel03―3269―1379、FAX03―3266―1855
メンテ

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