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【 取引慣行見直しに言及 】
日時: 2012/04/16 19:52:33
情報元: 日書連

日本出版インフラセンター(JPO)は3月30日、東京・新宿区の日本出版会館で記者会見を開き、経済産業省から委託された「書籍等デジタル化推進事業(電子出版と紙の出版物のシナジーによる書店活性化事業)」の検討委員会「フューチャー・ブックストア・フォーラム」の1年間の活動を報告した。

 記者会見には肥田美代子会長(出版文化産業振興財団理事長)、植村八潮副会長(専修大学教授)、田江泰彦委員(今井書店グループ社長、日書連「ためほんくん」部会長)、矢作孝志委員(出版文化産業振興財団専務理事)、永井祥一事務局(JPO専務理事)が出席した。

 この検討委員会は5つのワーキンググループ(WG)を設け、書店を通じた電子出版と紙の出版物のシナジー効果の発揮などに関する各種調査と実証実験を行ってきた。

消費者意向調査、海外調査、他業種調査を行った「調査WG」、店頭試し読み・近刊情報提供・オンデマンド印刷・ブックレビューサービスの各種実証実験を行った「ICT利活用ハイブリッド型書店研究WG」、注文品迅速化を研究した「書店注文環境整備研究WG」、書店の将来像を研究した「書店ビジョン研究WG」、新商材などを研究した「新業態WG」で議論。

300ページ超の報告書をまとめた。

 消費者意向調査ではは、87・7%の人が「行きつけの書店がある」と回答。

書店に求められているサービスは「ポイントカード」67・9%、「バーゲン」50・9%が多かった。

書店のメリットは85・9%が「現物を手にとって選べる」と回答した。

海外調査では、ドイツは買切制と在庫が翌日届く物流システムの結果として過剰在庫が発生していないと報告。

他業種調査では、医薬品業界は通常は翌日配送、急ぎの場合は当日配達される物流網が確立されていると報告した。

 店頭端末機での試し読みサービスでは、実験期間中の売上冊数は実験期間前に比べて39・0%伸びたと報告。

土日は子供の利用者が並んで端末の順番待ちをする光景が見られたという。

 書店ビジョン研究では、取引慣行を見直し、買切制へ移行していくことが必須であることを示し、古書や他商材を扱うことが求められるとした。

そのための課題として、人材教育体制の構築、新規参入支援制度の導入をあげた。

 記者会見の席上、肥田会長は「出版界は疲弊している。

地域文化の拠点である書店が息を吹き返すことが必要。

経産省はまだ見込みのある業界と思ってくれている。

この報告書に基づき、経産省の力を借りて、内部の構造改革を成し遂げたい」と話した。

植村副会長は「この事業は今年度で終了するが、今後検討しなければならないことについてはJPOが主体になって研究会を継続することを決めている。

来年度は経産省の中に委員会を作ってもらい、その下部組織としてWGをJPOが運営する。

報告書に示された書店の新しい業態に向けた改革を実行する」と方針を示した。
メンテ

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