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【 NET21、加入説明会を開催 】
日時: 2012/03/17 08:25:19
情報元: 日書連

中小書店協業化チェーンのNET21(田中淳一郎社長=恭文堂)は2月4日、東京・文京区の文京シビックホールで新規加盟書店を募集するため説明会を開き、全国の18書店・20名が出席した。

当日は出版社とのトークセッション「書店協業化の未来と出版社が期待すること」と、出席書店との個別説明会を行い、NET21に加盟する意義をアピールした。

 NET21は1997年に7法人で任意団体としてスタートし、01年に12法人より出資を受けて有限会社を設立。

現在は22法人・44書店が加盟し、合計の年商は107億円。

出版社の法人特約ランクはおよそ30位。

共同仕入や埋もれた本の発掘などで大手との差別化を図り、中小書店協業化のビジネスモデルを追求している。

 説明会の冒頭、初代社長を務めた渡辺順一相談役(進駸堂)は「本日の説明会で、NET21の仲間入りをするための物理的、心理的なハードルを低くしたい。

当初は会社として認めてもらえなかったが、色々な出版社のお力添えで11年間続けてこれた。

毎月定例会は店長会兼役員会兼オーナー会で、手弁当で集まっている。

忙しい中ほぼ全員出席してこれたのは『元気』『やる気』『熱心』をもらえるから。

書店は簡単ではない。

単店舗では限界がある。

組めるところとは組む。

だが入ったら何でも解決できるわけではない。

それぞれが役目を果たすみんなの会。

メンバーが増えることでNET21が儲かるわけではないが、やる気のある人が入ってくることで活性化する」と述べた。

 田中淳一郎社長の司会進行、講談社販売促進局の佐藤雅伸局長、ダイヤモンド社営業局営業部の井上直部長が参加して行われたトークセッションの模様は以下の通り。

〔書店協業化の未来と出版社が期待すること/トークセッション〕  田中 NET21の意義は2つ。

取次、出版社から独立して会員書店の利益のためにある。

書店オーナーが経営レベルで交流できる会であることも重要だ。

主な仕事は共同仕入。

加盟書店のオーナー22人が出版社の担当を持って仕入を行っている。

NET21が他の法人と違う点を聞きたい。

 佐藤 20年前に60人いた販売促進局は現在13人。

全国の書店をくまなく訪問するのが難しくなった。

本部機能を持つ書店とビジネスを進めていく形を取らざるを得ない。

そこにNET21の存在意義がある。

 井上 本来1店ごとに話をするのが当たり前だが、出版社は人員削減を進めており、本部を持つ法人との付き合いが深くなる。

出版社側からもっと声をかけなければいけないのだが、声をかけても「うちはビジネス書は売れない」と言われることも多かった。

NET21加盟書店は町の本屋さんが多いので、設立された時は、ビジネス書を売る裾野が広がる可能性を感じた。

 田中 情報をいかに早く入手するかが本を売る仕事の生命線。

出版社から情報が流れてこない書店は多いが、NET21は情報を共有できるのが強み。

ただ10年以上ずっと変わらない仕事をしてきて、問題点を見過ごしていると感じる時もある。

欠けている点を教えてほしい。

 佐藤 法人格はあるが、22人のオーナーがいて、各書店が独立している。

全体の売上目標の設定などが明確になっていないのではないか。

 井上 首都圏の都市型の店を除くと、ビジネス書の売上は低い。

付き合いの中で「もっとこの商品がほしい」と文句を言ってほしい。

ビジネス書の売り方について大きな枠で話ができれば、よりよい関係を築くことができる。

 田中 NET21は、情報を受ける機能は優れているが、情報を発信する機能は物足りない。

そういう要素を入れて会社を育てたい。

世の中が変化しているのに同じことを続けるのは後退に等しい。

厳しい環境の中で売上を伸ばしたい。

ステップアップするため何が必要か。

 佐藤 バイヤーが22人いるのは他の法人に比べて圧倒的に多い。

やりようによっては濃い情報をたくさん集められる。

最近の読者は本を読むけれど、色々と工夫してあげないと買ってくれない。

昔は本好きに向けたざっくりした展示でよかったのが、今は選んでもらえるよう細かな環境作りが欠かせない。

出版社から書店、書店から読者への提案の方法を変えていかねばならない。

 井上 自分の店を持ちながらNET21のバイヤーをやっており、大変だと思う。

バイヤーは出版社に対する顔。

その対応によって出版社の対応も変わる。

重要な役割だ。

バイヤー同士の情報交換が今後大切になるだろう。

 田中 電子書籍の取り組みは。

 井上 ビジネス書の著者は最先端の情報に触れているので、やってみたいという声があがり、50タイトルほど出している。

いちばん売れたのは「もしドラ」で15万部。

 佐藤 当初から積極的に取り組んできた。

紙と電子は食い合わない、利用し合ってパイを広げるという考えからスタートした。

 田中 NET21が今後やるべきことついて。

 井上 もっと多くの出版社と積極的な付き合いをしてはどうか。

売り場作りで提案してほしい。

 佐藤 ジャンル別に分析することも必要。

NET21発のベストセラーや営業支援をもっとアピールすべき。

 田中 仕入は店の能力ではなく人の能力。

仕入担当者同士が情報交換して精度を磨くことが重要。

仕入はすべての窓口。

重要性を肝に銘じたい。

いま返品率が大きなキーワードになっている。

売れる数よりも返品率がクローズアップされることもある。

仕入時の問題がそのまま返品率に響く。

仕入は高感度な人が高い精度で行うべきだ。
メンテ

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