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【 万引犯「全件警察に通報」が7割 】
日時: 2011/10/16 20:07:45
情報元: 日書連

 全国万引犯罪防止機構はこのほど第6回(平成22年度)「全国小売業万引被害実態調査報告書」を発表した。

これによると、調査に協力した23業態253社のうち、約4割の企業で、前年より万引被害額が増えたと回答。

また、捕まえた万引犯は全件警察に通報すると答えた企業が7割以上にのぼることが明らかになった。

 この調査は、全国万引犯罪防止機構が全国の小売業・サービス業における万引被害の現状を把握するために毎年実施しているもの。

日本経済新聞社編「日経小売・卸売企業年鑑2006」を調査台帳の基本として、随時最新の情報に更新した掲載企業のうち、主として「セルフ販売」を採用する企業の本部を調査対象とした。

調査票を郵送配布・郵送回収する形で、今回は26業態951社を対象に行い、有効回収数は23業態253社(有効回収率26・6%)。

回答企業の業態別分布は、企業数の多い順に次の通り。

 ▽スーパー=67社▽百貨店=29社▽コンビニ・ミニスーパー=23社▽ドラッグストア、生活協同組合=各18社▽ホームセンター・カー用品=17社▽書籍・文具=11社▽家電製品=10社▽スポーツ用品、婦人服・子供服=各8社▽総合ディスカウント=6社▽その他専門店、靴、時計・めがね=各5社▽カジュアル衣料、服飾・服飾雑貨=各4社▽楽器・CD、呉服、紳士服=各3社▽酒類、宝飾品=各2社▽100円ショップ、玩具・ホビー用品=各1社(カメラ、家具、生鮮の3業態は回答なし)。

 回答企業の展開する店舗数は、「11〜30店舗」が56社(22・1%)、「101店舗以上」が48社(19・0%)、「51〜100店舗」が47社(18・6%)、「5店舗以下」が43社(17・0%)、「31〜50店舗」が32社(12・6%)、「6〜10店舗」が21社(8・3%)となっている。

〔被害件数は1社平均329件〕  直近決算年度における万引犯罪被害件数を聞いたところ、この質問の有効回答210社の被害総件数は6万8995件で、1社平均では329件となった。

平均件数の多い業態は、スーパー925件、ホームセンター・カー用品539件、総合ディスカウント512件、書籍・文具217件、その他専門店117件、生活協同組合73件、ドラッグストア66件となっている(図1)。

 確保した(捕まえた)万引犯の人数は、有効回答215社の総人数が3万9827人、1社平均で185人だった。

平均人数の多い業態は、ホームセンター・カー用品551人、スーパー417人、総合ディスカウント383人、書籍・文具211人、その他専門店131人(図2)。

 確保した万引犯の男女別内訳は、男性60・9%、女性36・7%。

職業別内訳は、「無職」の35・4%を筆頭に、「主婦」16・7%、「社会人」13・4%、「中学生」11・5%、「高校生」8・9%、「不明」5・0%、「小学生」3・7%の順。

小・中・高校生を合わせた「青少年」は24・1%だった。

また、確保した万引犯の単独犯・複数犯別内訳は、「単独犯」が84・9%、「複数犯」11・8%、「不明」3・3%で、さらに「複数犯」の内訳は「2人組」7・3%、「3人組」3・1%、「4人組以上」1・4%となっている。

〔4割の企業で「被害額増えた」〕  万引被害金額を1年前と比較して増減傾向を聞くと、「大変増えた」と答えた社が7・1%、「やや増えた」が32・8%で、この二つを合わせ増加したと答えた社は39・9%にのぼった。

一方、「やや減った」は17・4%、「大変減った」は2・0%で、この二つを合わせ減少したと答えた社は19・4%だった。

この他、「変わらない」が27・3%、「わからない」が9・5%。

業態別で「増加」の比率が高いのは、書籍・文具72・7%、生活協同組合55・6%、ホームセンター・カー用品41・2%、スーパー40・3%となっている。

 各社が最近の万引犯罪の原因と考えるものについて複数回答で尋ねたところ、「万引に対する犯罪意識の欠落」が最も多く76・3%。

以下、「失業者の増加など長引く経済不況」62・5%、「店舗の大型化による従業員1人当たりの守備範囲の拡大」49・4%、「従業者の防犯意識の低下(パート比率の増加等による)」29・6%、「インターネットオークションの出現」26・9%、「中古ショップの増加」20・6%の順となった。

 回答各社において万引犯罪を発見した場合、その後の基本的な処理方針について尋ねると、最も多かったのが「全件警察に通報、家族や学校へはケースバイケース」で44・6%だった(図3)。

次いで「全件警察に通報、未就学児・学生は家族および学校にも連絡」28・7%となり、全件警察に通報すると答えた企業は合わせて73・3%にのぼった。

この割合は平成21年度調査では63・6%、平成20年度調査では58・0%となっており、全件通報する企業が年々増加していることがうかがえる。

以下、「一部警察に通報する」20・2%、「その他」5・1%、「通報しない」0・4%。

 この問いで、「全件通報、未就学児・学生は家族および学校にも連絡」以外の回答を選択した社に、基本的な処理と異なる処理をする場合の基準は何かを尋ねたところ、「初犯か再犯か」22・5%、「被害金額の大きさ」19・7%、「未成年か否か」14・6%、「未就学児か否か」11・8%という回答になった。

 万引犯罪の処理方針で、警察に「全件通報」または「一部通報」と回答した企業に、書類作成で警察に居た平均時間を尋ねた結果は、「1〜2時間」が最も多く35・6%。

次いで「30分〜1時間」29・7%、「2〜3時間」15・3%、「3時間以上」5・9%、「30分以下」4・7%だった。

警察の書類作成に要する時間を昨年と比較すると「警察の対応時間は変わらない」48・7%、「わからない」21・2%、「短くなった」19・1%、「長くなった」3・4%となった。

 警察に居た時間の中で「手間と感じた手続き」を聞くと、「参考人調書」44・9%、「警察に行くこと」40・7%、「被害届」38・1%、「実況見分」25・8%、「証拠関係」19・5%となった。

警察での「参考人調書・被害届」にいかに手間が掛かり、負担に感じているかを表すもので、手続きの簡素化が求められる。

なお、平成22年10月1日からスタートした「全件通報・通報ルールの簡略化」の認知を尋ねたところ、「通報ルールが簡略化されたことを知っている」と答えたのが50・2%、「知らない」44・3%で、約半数が認知しているという結果になった。

〔損害賠償請求の実施は5・5%〕  図4は、回答各社が店舗レベルで実施させている万引犯罪防止策を聞いたもの。

「従業員にお客様への声かけをさせている」が最も多く90・9%。

次いで「防犯カメラをつけさせている」78・7%となった。

このほか多かったのは「保安警備員を配置させている」52・2%、「商品陳列を工夫させている」49・4%、「店内ポスター、掲示物等を作り貼らせている」48・2%など。

また万引犯罪防止のための従業員教育としては、「朝礼等で万引防止をテーマに取り上げさせている」45・5%、「万引防止マニュアルを作成・配置させている」40・3%という回答が多かった。

 万引犯を捕捉した際の費用(人件費)を請求しているかを尋ねた結果は、「損害賠償請求はしていない」90・1%、「損害賠償請求をしている」5・5%、「無回答」4・3%となった。

「損害賠償請求をしている」と回答した14社にその後の万引の増減を聞いたところ、「万引の件数が減った」と「減らない」がともに42・9%と拮抗した。

 万引犯に「損害賠償請求を行っていない」228社に今後の導入意思を尋ねたところ、「万引犯人に対する損害賠償請求の導入を検討している」19・7%、「考えていない」75・0%となった。

また、万引犯の店内捕捉についての考えを尋ねると、「検討したことがない」24・9%、「すでに実施している」19・4%、「他社の動向を静観している」19・4%、「店内捕捉については反対である」17・4%、「検討している」10・7%と判断が分かれた。

 万引に関して地域社会とどのようなタイアップをしているかを聞くと、「万引防止のポスターを店頭に貼っている」54・2%、「生徒の職場体験を受け入れている」52・2%の2つが拮抗し、次いで「制服警察官の店内巡回を受け入れている」35・2%となった。
メンテ

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