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【 送品抑制策で返品が減少 出版科学研究所の調べ 】
日時: 2011/02/15 11:01:37
情報元: 日書連

2010年の出版物推定販売金額は前年比3・1%減の1兆8748億円になったことが出版科学研究所の調べで明らかになった。

「2兆円割れ」が話題になった09年からさらに落ち込んだ。

10年は主要取次が大幅な送品抑制策に転換して返品率が減少。

書籍の新刊点数も大幅に減少するなど、市場が冷え込む中で需要と供給のバランスを取る動きが鮮明になった。

 書籍の推定販売金額は前年比3・3%減の8213億円で4年連続の前年割れ。

ミリオンセラーは『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)、『1Q84 BOOK3』(新潮社)など計5点出たが、売れる本とそれ以外の本の二極化が顕著だった。

 金額返品率は同1・6ポイント減の39・0%と大幅に改善した。

主要取次が返品減少対策として新刊配本の大幅な引き締めを行い、市場の実態に合った配本を推進したことによる。

 新刊発行部数は同4・5%減の3億6876万冊、同発行金額は同6・1%減の4153億円。

出回り部数は同4・7%減の12億1390万冊、出回り金額は同5・8%減の1兆3472億円となり、新刊・出回りともかつてない引き締めが行われた。

 新刊点数は7万4714点で同4・9%減少。

内訳は、取次仕入窓口経由が5万7804点で同5・1%減、注文扱いが1万6910点で同4・1%減。

取次仕入窓口経由は5年ぶりに前年を下回った。

出版社は新刊1点当たりの配本部数が減ったため、採算上からも新刊刊行を絞らざるを得なくなったと見られる。

 平均価格は、出回りが同1・2%減の1110円、新刊が同1・7%減の1126円。

価格が安くなければ読者に受け入れられないという出版社の価格政策が下落の要因となった。

 雑誌の推定販売金額は前年比3・0%減の1兆535億円で13年連続のマイナスとなった。

内訳は、月刊誌が同2・4%減の8242億円、週刊誌が同5・2%減の2293億円で、週刊誌の不振が目立った。

 推定販売部数は同4・3%減の21億7222万冊。

内訳は月刊誌が同3・7%減の14億6094万冊、週刊誌が同5・6%減の7億1128万冊。

 金額返品率は同0・7ポイント減の35・5%。

取次が大幅な送品抑制を行った効果が雑誌にも出ており、2年連続で改善された。

内訳は月刊誌が同0・8ポイント減の36・8%、週刊誌が前年同率の30・3%。

 創復刊点数は同25点減の110点。

過去40年で最も少ない点数となった。

創刊誌の部数上位銘柄の大半は分冊百科が占め、前年と同数の29点が創刊した。

休廃刊点数は同27点増の216点。

07年の218点に次ぐ、過去2番目に多い休刊点数となった。

発行銘柄数は同2・4%(86点)減の3453点で4年連続減少した。

休刊点数が創刊点数を106点も上回り、その差は年々拡大している。

 平均価格は同1・6%増の503円。

08〜09年の2〜3%台という高い上昇率からは鈍化した。

月刊誌は同1・6%増の578円、週刊誌は同1・5%増の335円とともに上昇した。

 雑誌全体の傾向としては「週刊少年ジャンプ」や宝島社の女性誌など爆発的に売れたものとそうでないものの落差が極端に見られた。

また、「週刊現代」など読者年齢の高い雑誌ほど堅調に推移している。

付録企画も引き続き活発で、発行点数は同1・4%増の1万3054点となった。

 出版科学研究所は、市場の実態に合わせて前年実績を大幅に下回る大胆な送品政策を打ち出せなかった主要取次が、大幅な送品抑制政策を打ち出さざるを得なくなったことは「大転換といってよい」としている。
メンテ

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