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出コン研、富士通の実験結果報告/「端末ごとのレイアウト重要」
日時: 2010/07/27 07:48:53
情報元: 新文化

出版コンピュータ研究会の第261回例会が7月16日、東京・五反田の学研ビルで行われ、富士通フロンティアテックの蔭山芳明主席部長によるカラー電子ペーパーを取り巻く業界動向についての講演を開いた。

富士通は、同社が開発した情報携帯端末「FLEPia」を通じて日経BP社と電子書籍の配信実験を、今年2月から1カ月半の期間で実施。約60人のモニターに同端末を配布し、雑誌「日経エレクトロニクス」を閲覧した使用感などについてアンケート。蔭山氏はその回答の一部を紹介した。

同端末の画面サイズは8インチで、搭載コンテンツは紙のレイアウトをそのまま用いたPDFファイルを使用した。画面のサイズについては、5割が「今のサイズで良い」、3割強が「今よりも大きいサイズが良い」と回答。紙の雑誌はA4判なので「若干大きくした方が見やすくなるのでは」と蔭山氏は分析した。

読みやすさについては、記事閲覧者回答ベースで、「2〜3ページの閲覧」では6割が、「特集ページの閲覧」では7割強が「非常に読みづらい」と回答。蔭山氏は8インチ、PDFファイルで雑誌を読むのは正直厳しいとした。

また、端末画面にあわせて表示レイアウトを変更した実験も行い、紙の雑誌の横書き3段組みで図版を1ページに2つ挿入したものと、端末用レイアウトの横書き1段組で図版を1ページに1つ拡大し挿入したものを比較。端末用レイアウトでは約6割が読みやすくなったと回答した。

蔭山氏は「PDFファイルで紙面イメージを持ってくるのは簡単だが、レイアウトを端末ごとに変えることが重要だ」と話した。

出席者からの「コンテンツ提供者は端末ごとにレイアウトの変更を求められるのか」という質問に対して、蔭山氏は「ある程度簡単なレイアウトの雑誌であれば端末用レイアウトに自動変換化できる可能性はあるが、一般的な雑誌では自動変換は難しい。しかし、レイアウトを変えることで電子書籍の読みやすさを追求することは考えなくてはならない」と話した。
(新文化 本紙2010/7/22号掲載記事から)
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