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知財高裁、小説の盗用否定/「弁護士のくず」訴訟
日時: 2010/07/14 08:01:46
情報元: 新文化

小学館のビッグコミックオリジナルに連載中の漫画「弁護士のくず」の四話分について、内田雅敏弁護士が自身の小説『懲戒除名』からの盗用として、作者の井浦秀夫氏と発行元の小学館を相手取り、500万円の損害賠償などを求めた著作権等侵害訴訟の控訴審で知財高裁は6月29日、請求を退けた第一審を支持し、内田弁護士の控訴を棄却した。

飯村敏明裁判長は「漫画にはエピソードやアイデアで共通点はあるが、表現上の特徴で共通する部分はなく、小説の本質を感じ取れるものではない」として、「著作権・著作者人格権の侵害などにはあたらない」との判決を下した。

小学館では「一審に続いて知財高裁でも当方の主張が認められたことは、高く評価する。先行する文献から実在の事件を学んで、事件の骨格を作品に利用することは侵害にあたらないという意味ある判決」とコメントしている。

著作権は作品の〈創作的表現〉を守るもので、創作的表現を真似しない限り、先行する文献から実在の事件を学んで作品に利用することは許される。

こうした前提を踏まえて、被控訴人らの代理人である福井健策弁護士は「裁判所がこの基本ルールに則った判断を下したことは、『小説からの盗用』という誤った情報で著しく名誉を傷つけられた井浦氏の名誉回復になる」などと話している。

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