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国立国会図書館書誌データの一元化へ実務協議
日時: 2010/03/22 11:20:54
情報元: 新文化

国立国会図書館の呼びかけによる「日本全国書誌の在り方に関する検討会議」が3月3日、東京・永田町の同館で開催された。出版界からは日本出版インフラセンター(JPO)や日書連などの団体のほか、トーハンや日販、図書館流通センター(TRC)が出席。出版界と図書館界が協力して書誌データの一元化について実務協議する場を設けることを確認した。今夏までに一元化に対する中間報告をまとめる方針だ。図書館界やトーハン、文字・活字文化推進機構などからは好意的な意見があがったという。ただ、どこまでを共通インフラとするか、その線引き次第で、TRCのような図書館業務を担う民業を圧迫する恐れもいなめない。

国会図書館以外の出席者は、全国公共図書館協議会の関口栄一事務局長、JPO理事で新潮社の佐藤隆信社長、日販の橋昌利専務取締役、書協の小峰紀雄理事長、日書連の大橋信夫会長、日本図書館協会(日図協)の松岡要事務局長、TRCの谷一文子社長、トーハンの山ア厚男社長、文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長ら九社団体。全国学校図書館協議会(全国SLA)の森田盛行理事長もオブザーバーとして参加した。図書館マークを作成する大阪屋は呼ばれていなかった。

当日の出席者たちの意見では、文字・活字文化推進機構やトーハンは「強力にすすめてもらいたい」「標準マークをつくってきた立場で、自分たちは書誌データ一本化の流れには強く支持したい」などと強く賛意を示したという。日書連も書誌データの一元化に賛同しつつ、「迅速に作成されたデータがほしい」などと要望を語ったという。

また、書協も書誌の一元化には好意的で、商品基本情報センターを運営するJPOも一元化には賛意を示し、「日本の場合、近刊情報はタイトルや値段など、直前まで変更されることが多い。そもそも書誌データの項目をどのようにあわせ、出版日までに変更されるデータにどう対応するのか」と課題も指摘した。

t日販は協力することには同意しながらも、「まだかたちが見えてこない」とし、長年図書館向けに書誌データの作成業務を行ってきたTRCは、自社のMARCと目録について、図書館に対して質の高いサービスを行ってきたことをアピールするとともに、TRC/MARCの利用状況などを報告したという。

図書館側も一元化には賛同しており、日図協は「公共図書館からの要望のなかでも、JAPAN/MARCを中心とした一元化は望ましい」、全国公共図書館協議会は「公共図書館の立場では、書誌がより広い立場で公共的なものとして使われるのは望ましい」、全国SLAは「学校図書館はシステム化が進まず不十分な状態。公共的な書誌が早い時期にくるのは必須の課題なので、できるだけすすめてほしい」などと話したという。

納本制度により全国の出版物を網羅的に収集する国立国会図書館では、刊行目録の日本全国書誌を作成している。その機械可読版がJAPAN/MARC。しかし、納本されてから書誌データが作成されるまで数カ月ほど時間がかかることなどから、民間での使用には向かないとされてきた。

そのため、TRCや取次は、各社独自のMARCを作成。全国の公共図書館の八割以上は、TRCなど民間が作成したMARCを購入し、使用している。

2007年、国会図書館法が一部改正され書誌データを広く国民に利用できる方法を提供するとした。さらに今年1月27日には活字文化議連が民主党主体に組織変更し「官民協力のもと、書誌データの一元化」の活動計画を発案。翌28日付で文字・活字文化推進機構から議連に対し、出版・流通・書店・図書館など関連団体の、書誌データ一元化の合意形成に必要な役割を、同機構が担うとの見解を発表した。2月9日には日図協が日書連あてに同活動への賛同書を提出。その流れを受け、同会議が実施された。

同会議で確認した事項は次のとおり。(1)2010年の国民読書年にちなみ、出版文化の基礎となる出版・書誌情報の重要性を認識し(2)納本制度に基づく我が国の出版物の網羅的収集と保存を使命とする国立国会図書館の書誌データ整備をさらに充実したものとし、その利用と普及がより促進され(3)我が国における出版・書誌情報における基本インフラとして機能するよう(4)出版、流通、書店、図書館、書誌データ作成機関等が協力・連携を強化する(5)その実現に当たっては、関係者による実務協議の場を設置し、詳細な点を検討することとする。

メンテ

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