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紀伊國屋書店、図書館向け新電子書籍サービス発表
日時: 2009/07/21 11:03:55
情報元: 新文化

紀伊國屋書店は6月25日、東京・文京区のトッパン小石川ビルに出版社約80社を招き、図書館向け電子書籍サービス「NetLibrary」の和書プロジェクトに関する新サービス説明会を開いた。当日は同社が日本の代理店で、図書館相互協力ネットワーク「OCLC」のジェイ・ジョーダンCEOが出席、「米国における電子出版事情とOCLC」と題して講演した。

現行の和書プロジェクトでは出版コンテンツの提供側である出版社が電子化し、紀伊國屋書店が販売に応じて支払う仕組みだが、新サービスでは出版社は出版コンテンツの提供のみで、凸版印刷と紀伊國屋書店が共同で電子化、販売する。6月1日に発表された両社の業務提携の一環で、3年後には年間5000タイトルを電子化し、大学図書館など400機関に提供、年商10億円を目指す。

NetLibraryは電子書籍の大手プロバイダーで、世界最大の図書館ネットワークであるOCLCの一部門。紀伊國屋書店は一九八七年、OCLCと代理店提携を結び、現在日本の図書館など725機関がこのサービスを利用する。

日本の学術系出版物を電子化し、大学図書館などに販売する「和書プロジェクト」は2007年9月にスタート。これまでに出版社24社・737タイトルを電子化した実績をもつ。大学図書館を中心とした85機関に年間延べ1万冊強を納入、売上高は約一億円。

説明会で紀伊國屋書店の高井昌史社長は「日本版NetLibraryをさらに推進したい」と語り、凸版印刷の大湊満常務は「出版コンテンツの電子化で出版社の障害となる手間やコスト面の問題を解消する環境を整えた」と述べた。さらに「米国では大学図書館における書籍購入予算の14%を電子書籍が占めているが、紙の書籍の市場も伸長している。紙と電子の融合で新たなマーケットができれば」と今回の提携に踏み切った理由を話した。

紀伊國屋書店ライブラリーサービス営業本部の藤則幸男本部長はNetLibrary和書プロジェクトの新たな製作・販売モデルが従来の2社間から出版社・凸版印刷・紀伊國屋書店の3社間契約となり、「出版社の初期費用の負担軽減になる」と仕組みを説明。従来型の出版社のロイヤリティを変更する予定であることを述べ、「両社の先行投資もあるので、最終調整で煮詰めている」とした。10年末時点で現状の2倍となる1500タイトルをデジタル化。200機関に納入、年商2億円を目指す。

提供された書籍や組版データを電子化するため、凸版印刷はOCRとDTPに対応したシステムを構築。OCRの場合は同社が校正を行い、「データ精度は当社が保証」と説明した。


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