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とらのあな・塚本氏が講演「コミック誌はコミックスとの併売で動く」
日時: 2008/11/25 08:39:25
情報元: 新文化

でるべんの会は10月23日、東京・水道橋の内海で第26回勉強会を行い、書店や出版社など50人が参集した。虎の穴営業統括部営業課課長、コミックとらのあな書籍バイヤー、「とらだよ。」シニアディレクター、アニメーションプロデューサーの塚本浩司氏が「雑誌はまだ売れる! あきらめるな!〜コミック専門店『とらのあな』の挑戦」と題し講演した。
過去に独自の販売戦略で数かずの雑誌を売り伸ばしてきた塚本氏は、「雑誌はコミックスに発売日を合わせるべき」「書店は読者に“緊張感”を演出するべき」「販元は雑誌最新号の内容をなるべく早く書店に伝えて欲しい」などの持論を述べた。
塚本氏は、現在の読者について、「雑誌を買うために書店に来る読者は減っている。コミックスを買うために来た際に買うことはあると思うが、その逆はない」と分析。「雑誌はコミックスに発売日を合わせるべき」と主張し、その成功例として「ジャンプスクエア」(集英社)創刊時のエピソードを紹介。
 「ジャンプコミックスの読者と『ジャンプスクエア』が想定する読者は嗜好性が近い。コミックスの読者が店頭で同誌を目にすれば、併せて購入すると考えた。コミックスの発売日は、書店店頭が最も華やぐ日。そうした日に展開すれば当然目立つ」
また、雑誌の発売日をコミックスに合わせることによる書店側のメリットについて、「販促をする際、雑誌とコミックスの連動が円滑に進み、オペレーション上のリスクが減る。唯一のデメリットは棚が足りなくなることぐらい」と語った。
会場からの「出版不況といわれるなか、なぜ同人誌は売れているのか」という質問を受けて、塚本氏は「同人誌との出合いは、一期一会であると言われる。見つけたときに買わなければ、二度と手に入らないかもしれないという“緊張感”。
雑誌に関しても、そうした緊張感は当てはまる。例えば04年、『コミックビーム』(エンターブレイン)の9月号に福島聡と森薫の合作漫画が掲載された。その際、事前に単行本化の予定の有無について編集部に問い合わせたところ、『当面無い』という回答を得たので、即座にその旨を無料PR誌『とらだよ。』や店頭で告知し、前途の緊張感を演出した」。これにより、通常約200部の同誌を1200部仕入れ、約1000部売ったという。
 しかし、こうした動きは発売直前に情報をもらったのでは不可能。「『ジャンプスクエア』の場合は、創刊の約三カ月前に版元側から連絡があり、また同誌編集長が自ら店長会に出席し、プレゼンをしてくれた。書店・版元間の情報の共有が早い段階で実現できたからこそ、販売戦略を練り、態勢を整えることができた」と、雑誌販売における書店・版元間の情報共有の重要性を訴えた。

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