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【 景品規約変更で公聴会 】
日時: 2006/04/21 08:48
情報元: 日書連

【 景品規約変更で公聴会 】
 「出版物小売業公正競争規約」の変更案に関する公聴会が4月14日午後3時から東京・霞ヶ関の公正取引委員会で開かれた。

公聴会では出版物小売業公正取引協議会の井門照雄会長、大川哲夫事務局長が変更案の概要を説明したのに続き、消費者団体、関連業界、学識経験者からなる6名の公述人が意見を述べ、主婦連合会を除いて変更案に賛成を表明した。

 公聴会は公取委・柴田愛子委員の開会あいさつで始まり、同・菅久修一消費者取引課長が公正競争規約制度の概要について説明。

続いて出版物小売公取協・井門会長が、公聴会に至るまでの経緯と景品規約変更に対する考え方(別掲)を述べ、大川事務局長が変更案の内容について@景品類を提供できる期間を「年2回90日以内」に変更する。

A個店が行なうトレーディングスタンプ等のサービスは取引価格の2%。

但し施行から1年間は1%とする。

B平成21年までに見直しを行う――と説明した。

 このあと公述人6氏が意見を述べ、主婦連合会を除いて賛成を表明した。

消費者団体のうち日本消費者協会・市原由美子氏は「今回の変更で景品が消費者に提供される機会が増える」としたのに対し、主婦連合会・和田正江氏は「景品で顧客を誘引するのではなく、品揃えや注文対応などで競争すべき」と意見の食い違いを見せた。

【井門会長あいさつ】 今日ここに公聴会の開催に至りましたことに関して厚く御礼申し上げます。

 出版物小売業公正競争規約は昭和56年9月の協議会設立以来、平成4年、平成11年、平成14年と3回にわたる変更を行なってまいりました。

前回平成14年の変更後は、その施行日、平成14年7月1日より3年以内に見直しを行うということから、検討を重ねてまいりました。

 しかしながら、私ども新刊書店が取り扱う出版物は、出版社により価格拘束された再販出版物が大部分を占めており、全国の書店のほとんどが締結している現行の再販価格維持契約にも割引に類する行為はしないと明記されています。

景品付販売の緩和・変更は再販制度の維持の点で重大な影響を及ぼすと危惧する声も大きくございました。

 また、私どもの公正競争規約は書店独自の景品規約であり、出版社の支援も得られず景品のコストを負担できない困窮の状況、すなわち原資のない書店が多いこと、また出版物はその特性から景品付販売になじみにくいとの考え方が強くあります。

 しかし一方、カード等の普及により消費者へのサービスが多様化し、自分が認識するかしないかは別として、その渦中にあるのも事実であります。

 そういう中、議論を重ねてきたわけでありますが、期限を10ヵ月延びた今日、ようやく公聴会を開くことができました。

 私ども書店の使命は出版文化の向上と良書の普及であり、今後、書店での情報提供、並びに読者に喜ばれる品揃え、出版流通の改善を図りながら、迅速・確実に読者の要望に応えることが読者の利益になると考えています。

 出版物小売業公正競争規約の運用にあたっては、規約の趣旨の周知徹底を図り、適切かつ公正な運用に努めていく所存であります。

今後とも公正取引委員会のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

【公述人の発言要旨】 市原由美子氏(日本消費者協会主任相談員) 年2回90日への緩和や実施期間の適用除外規定の新設は、景品を消費者に提供する機会が増えることになるので評価する。

3年後の見直し規定の設定も、社会経済状況の変化を捉えたものとして妥当だと思う。

 和田正江氏(主婦連合会参与) 景品で顧客を誘引することには反対。

書店には品揃えや注文対応、店員の商品知識など、景品よりも先に顧客の要望に応えてほしいことがある。

変更案は小さい変更であり出版物の売行きを喚起する効果は期待できない。

景品よりもポイントカードに取り組むことを望む。

 大竹靖夫氏(日本書籍出版協会・日本雑誌協会) 出版物は文化性や公共性という商品特性から独禁法の適用除外になっている。

小売価格と同様、景品も過大な提供に走ることなく顧客に対して公平性を保つことが望ましい。

実施期間の適用除外規定の新設も、1〜2%の範囲であれば小売店の努力次第で導入も可能かと思う。

 土屋博功氏(日本出版取次協会) 今回の変更案は書店にとり厳しい選択と推測するが、社会情勢の変化から止むを得ないと考え賛同する。

だが本は内容で勝負するもので、お買い得感で購買意欲が大きく変化するとは思えない。

書店が担う本来の機能とは違うところで競争原理が強まり、書店の経営体力が消耗するようなことになれば、読者の利益が損なわれかねない。

 藤井勝敏氏(全国広告関連労働組合協議会) 出版物の特殊性、国民の知る権利と利便性、競争のあり方という3つの観点から考えて変更案に賛成する。

書店における景品の大幅な緩和は市場の混乱を招き、結局は消費者利益に反する。

小幅な緩和で様子を見るべきで、変更案は緩和の程度が妥当だと考える。

 岸井大太郎氏(法政大学法学部教授) 独禁法上、景品は消費者を惑わせる一線を超えた場合のみ規制される。

出版小売業では景品告示の規準に上乗せされているが、書店だけが特殊だとは言い難いし、再販を理由に景品規制を正当化することはできない。

消費者の本の価格に対する意識は変化しており、3年後の見直しでは上乗せの妥当性をテーマにしてほしい。

http://www.shoten.co.jp/nisho/bookstore/shinbun/view.asp?PageViewNo=5020
から引用
メンテ

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