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【 返品7%下げ、売上げ10%増 】 主婦の友社の雑誌返品減少企画
日時: 2006/04/19 16:56
情報元: 日書連

【 返品7%下げ、売上げ10%増 】
 主婦の友社の雑誌返品減少企画で、返品率を7・3%下げ、実売率を10・79%と2ケタアップさせたのが豊中市の毛利書店。

毛利元治社長(60歳)に同店が取組んだ返品減少の実践を聞いてみた。

 大阪ミナミの黒門市場と並び称されるのが、梅田から阪急宝塚線で11分、「庄内」駅前の豊南市場。

生鮮食料品を中心に50数軒が軒を連ね、人と自転車があふれている。

毛利書店は豊南市場の先、国道176号線に面して東町店(14坪)、駅をはさんだ西口には本店(13坪)とサンパティオ店(75坪)がある。

 阪神大震災で豊中は大きな被害を受け、豊南市場は5カ月にわたり閉鎖した。

不景気が長引くこともあって、以前の賑わいは取り戻せない。

「大阪から電車で10分足らずの距離なのに物価は安いし、典型的な下町です。

住民は建設関係のブルーカラーが多いので、景気の波をもろに受けますね」と毛利社長は土地柄を説明する。

 主婦の友社の返品減少企画は大阪屋に声をかけられた。

参加した5法人の中では、自分の店が一番規模が小さい。

雑誌主体で経営している町の本屋の代表として、結果を出したいと考えた。

大阪屋との企画窓口になったサン・パティオ店田辺店長には「うちだけできんと、カッコ悪いで」と対策を練った。

 主婦の友社の対象誌は別掲の18誌。

誌名を徹底するためレジ台に対象誌を書き出して従業員への徹底を図った。

社員、パート社員が8人集まる月曜の朝礼ごとに中間集計を発表した。

陳列場所は競合誌より目立つ場所に、月刊誌なら次号発売まで並べるよう気を配った。

立ち読み客は雑誌を元の場所に戻すとは限らず、他誌の上に放り出していくことも多い。

平台や棚に隠れる雑誌がないように、整理整頓を心がけた。

かつて書店大学の研修会に通っていた毛利社長は、棚の整理や商品管理などパート社員やアルバイトにOJTの手法で意識付けができたと振り返る。

 対象誌18誌は半年間、毎週在庫調査を行って次号の発注に生かした。

本支店は2百メートル以内にあるので、店舗間で商品をローリングして品切れを防いだ。

大阪屋は毎月、18誌の返品率を報告してきた。

 主婦の友社の今回の企画は前年の仕入数を下回らないという条件が付いていた。

毛利書店の仕入数は前年同期比1部増。

「仕入数をいじらずに仕上がり率をいかに上げるかということで、最後の2カ月は週2、3回在庫調査をかけ、細かく部数調整した」という。

こうした努力の結果、前年4―9月期に18誌計で31・6%あった返品率は24・3%に低下した。

売上げが増加したのは『Ray』『mina』『Cawaii!』『Pre―mo』『HANACHU』『ZAKKAカタログ』の6誌。

 月2回刊誌の『mina』は前年の販売部数207部を300部に売り伸ばし、返品率は30・1%から18・7%に低下した。

若い女性向けの勢いがある雑誌があったので、全体でも2ケタ増になったと毛利社長は分析する。

 毛利書店の売上げは一昨年が96・7、昨年が95・2。

18誌の売上げは店の平均を上回った。

「マメに作業したのでよい数字が出せたが、半年間だから出来た。

今後続けるとなると、いろいろな工夫が必要だと思う」と毛利社長は言う。

「返品率を下げて書店の利益率を高めようという主婦の友社の意向はうれしかった。

現状では粗利が少なすぎて、社員に仕事に見合った給料が出せない。

これでは先行き人材難になる。

それと中小書店への新刊配本がなくなっている。

梅田まで行かなくてもベストセラーが手に入れば、お客様は喜んでくれる。

それが町の本屋の使命なんだが」と表情が翳った。

 〔返品減少対象18誌〕 『主婦の友』『Pre―mo』『Como』『プラスワンリビング』『ZAKKAカタログ』『ef』『声優グランプリ』『SCawaii!』『ゆうゆう』『My40s』『Baby―mo』『健康』『園芸ガイド』『Ray』『mina』『Cawaii!』『HANACHU』『ロト・ナンバーズ超的中法』【雑誌返品率低減企画報告/主婦の友社】 〔企画趣旨〕 業界全体の課題である雑誌返品率低減に向けてのテスト。

返品率の低減から生まれる出版社の利益を書店とシェアすることで、雑誌返品率と書店の営業利益率の両方の改善を目標とする。

 〔実施内容〕 大阪屋帳合でPOSを導入している書店5法人を対象に、主婦の友社指定18誌の返品率を、昨年の仕入数を下回らずに5%削減すれば、対象雑誌売上額の3・5%をバックマージンとして支払う。

 〔企画実施期間〕 平成17年4月〜9月発売雑誌。

 〔検証方法〕 前年同期間の参加書店の実績を対象数値とし、本年度の同期間の送品・返品の実数確認。

 〔企画に関しての意見〕 書店 ☆収支のプラスを目標に、仕入を調整し返品の減少を目指す作業は、非常に楽しかった。

 ☆通常業務の中で、残念ながら返品に関する意識が希薄であったが、今回のこの企画に取り組むことによって、以前よりも−層、返品に対しての意識が出た。

 ☆店員が返品を意識し、雑誌を売る為には基本的なことだが、雑誌は重なって陳列されていないか? 店内をまめに整理してまわっているか? などの社員教育・商品管理の向上にも繋がった。

 ☆18誌を良い所に陳列するなどの現場指示が非常に難しかった。

(管理アイテムが多い) ☆途中、販売会社との配本に関する連携が上手くいかなかった点も見られた。

 ☆書店マージン増だけでなく、返品滅という双方にメリットが出る形を目指したい。

 ☆半年間限定での返品滅は可能だが、今回と同様の条件で継続するとなると書店は大変厳しい。

毎回返品率5%ダウンは不可能。

 ☆雑誌に勢いがあるものがあったから、達成することが可能だった。

すべて厳しい雑誌では達成はおぽつかない。

 販売会社 ☆今回の実施はテストとして位置付けられていたので、対象書店様の実践データの取り出しから集計作業に至るまでが、実際には手作業によらざるを得なかった。

こういった企画は集計単位が法人単位になるが、法人内で廃業店が発生した場合や、商品の発売本数に変更があった場合などを考慮に入れたシステム構築が必要と考える。

 〔問題点・要望点〕 書店 ☆18誌に関してだけならば、現場の意識徹底も可能であったが、企画参加版元が増え、管理アイテムがより増えるとなると、取り組みは難しい。

それぐらい、現場指示の徹底が難しい。

 ☆書店によって取り組む雑誌を選び、立地状況などを勘案して企画に参加する方式も検討してほしい。

 ☆仕入数滅でも実売増ならば達成としてもらうことも検討してほしい。

 ☆継続するなら、書店利益の向上のためにも、この企画の雑誌に関しては時限再販商品としていただき、企画達成の為の書店の販売手段を広げてほしい。

 ☆毎回返品率を下げることは不可能なので、一定の返品率を設定して、企画を継続させることを検討してほしい。


http://www.shoten.co.jp/nisho/bookstore/shinbun/view.asp?PageViewNo=5015
から引用
メンテ

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