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減収増益で黒字転換/取次事業は10億円超の赤字に/トーハン決算
日時: 2023/08/26 14:44:42
情報元: 日書連

トーハンは5月31日、2022年度決算(22年4月1日〜23年3月31日)を発表した。単体・連結とも減収増益で黒字に転換した。単体の取次事業は10億円を超える赤字となったが、不動産事業の好調などで経常黒字を確保。前年に投資有価証券評価損と旧本社などの固定資産除却損を特別損失に計上したため、当期純利益は大幅な増益になった。
単体売上高は前年比6・2%減の3768億1100万円、営業損失は4億8500万円(前年は6800万円の利益)、経常利益は同27・5%減の6億700万円、当期純利益は8億2300万円(前年は17億2900万円の損失)。
単体の事業別経常損益では、取次事業が10億4500万円の損失となり、前期から赤字が5億6900万円拡大した。不動産事業は前期から3億2700万円プラスして17億4700万円の黒字。フィットネスとコワーキングスペースの新規事業は9500万円の損失となったが、前期から1200万円改善している。
同日の記者会見で大西良文常務取締役は「年度当初に全社の業務改革プロジェクトを立ち上げ、あらゆる業務のコストを削減したが、売上が厳しい中で運賃等の物流コストが高止まりし、電気料金高騰のダメージも大きく、赤字が拡大した。不動産事業は順調に拡大しており、中期経営計画で投資を行いしっかり進めてきた結果、利益が上がってきている。新規事業はコロナ禍で相当厳しい状況になり、当期もコロナの影響を脱却することはできなかったが、赤字幅は縮小した」と説明した。
取次事業の商品種別売上高は、書籍が同3・7%減の1809億8900万円、雑誌が同6・5%減の1078億8100万円、コミックが同7・5%減の502億7300万円、マルチメディアが同8・3%減の421億6300万円、合計で同5・6%減の3813億800万円だった。
返品率は、同1・1ポイント増の37・6%。内訳は、書籍が同1・4ポイント増の35・5%、雑誌が同0・2ポイント増の48・0%、コミックが同1・3ポイント増の23・8%、マルチメディアが同3・1ポイント増の25・4%。
運賃の状況は、送品金額が右肩下がりとなる中で、1キログラム当たりの運賃単価は上昇し、送品運賃は高止まりしている。大西常務は「運賃が取次事業の赤字の最大要因。出版社に運賃協力金の要請を続けるとともに、流通コストが賄えていない出版社には、取引条件の見直しも視野に入れ、個別に相談していく」と述べた。
子会社26社を含む連結決算は、売上高は前年比6・0%減の4025億5000万円、営業利益は同81・4%減の2億3800万円、経常利益は同70・2%減の3億5100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億1200万円(前期は16億4800万円の損失)だった。
セグメント別の経常損益を見ると、書店系連結子会社(10社)は1億6600万円の赤字に。物流系連結子会社(4社)は1億8300万円の黒字を確保。その他連結子会社(12社)は、マリモクラフト、デルフォニックスの文具雑貨系が好調で、前年比183・8%増の6億5900万円となった。
また、持分法適用会社の八重洲ブックセンターの山ア厚男代表取締役社長が、6月19日開催の定時株主総会で退任し、佐藤和博取締役が社長に就任した。
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