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紙と電子のコミック市場0・2%増の6770億円/紙は1割以上減、電子は伸びが鈍化/出版科研調べ
日時: 2023/05/23 18:06:42
情報元: 日書連

出版科学研究所が発行する『出版月報』2月号は、「コミック市場2022」を特集。これによると、昨年の紙と電子を合わせたコミック市場規模は、前年比0・2%増の6770億円で、過去最多を更新した。紙は同13・4%減の2291億円、電子は同8・9%増の4479億円だった。
2022年のコミック全体(紙+電子)の推定販売金額は前年比0・2%増の6770億円で、微増ながら5年連続のプラスとなった。コロナ禍の巣ごもり需要と『鬼滅の刃』などのメガヒットの登場で20年、21年は大きく伸長し、ピークだった1995年を超えて2年連続で過去最高を更新していたが、22年はコロナ禍の特需がほぼ終息してわずかな伸びにとどまり、ヒット作品も前の2年には及ばなかった。紙のコミックス(単行本)とコミック誌を合わせた販売金額は同13・4%減の2291億円。電子コミックは同8・9%増の4479億円で、これまでほぼ毎年2桁増の大幅伸長を続けていたが、22年は急速に鈍化した。出版市場における紙+電子のコミックのシェアは41・5%で同1・1ポイント上昇した。
紙のコミックス単行本(雑誌扱い+書籍扱い)の販売金額は同16・0%減の1754億円。内訳は、雑誌扱いコミックスが同19・4%減の1491億円、書籍扱いコミックスが同10・5%増の263億円で、書籍扱いは3年連続増加。最近は、紙の雑誌を有しない出版社や電子ストアが電子版の連載の中から紙のコミックスを出す場合、書籍扱いで刊行することが多く、市場が拡大している。
平均価格は同4・9%(28円)増の595円と大幅に上昇。内訳は、雑誌扱いコミックスが同4・0%(22円)増の568円、書籍扱いコミックスが同2・2%(17円)増の777円。歴史的な円安・物価高による資材費高騰や物流コストの上昇分を価格に転嫁したケースが多かった。
新刊点数は同5・7%(767点)増の1万4187点。内訳は、雑誌扱いコミックスが同1・6%(145点)増の9417点、書籍扱いコミックスが同15・0%(622点)増の4770点。長年減少傾向だった雑誌扱いコミックスはここ2年増加。増加点数が多かったのは集英社、講談社、秋田書店、コアミックス、ぶんか社、スクウェア・エニックスなど。白泉社、双葉社、竹書房、宙出版などは減少した。書籍扱いコミックスはKADOKAWAが大幅に増加。
売行きの動向をみると、前年に大ブレイクした『呪術廻戦』(集英社)、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)が引き続き売れたほか、アニメ化された『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』(いずれも集英社)が新たにブレイクするなど、22年も映像化作品の大ヒットが目立った。
『ONEPIECE』(集英社)は8月公開の映画がシリーズ歴代最高の興行収入を記録し、コミックスも大きく売行きを伸ばした。『SLAMDUNK』(集英社)も12月公開の映画が話題になり、書籍扱いの『SLAMDUNK新装再編版』を中心に売行きが急伸した。異世界ジャンルの代表作『転生したらスライムだった件』(講談社)も初のアニメ映画が11月に公開され、さらに売り伸ばした。サッカーマンガ『ブルーロック』(講談社)は10月にアニメ放映を開始、さらに11月開催のサッカーW杯における日本の活躍が重なって全巻大きく伸長した。
女性向けでは、ドラマ化した『ミステリと言う勿れ』(小学館)や、ジャニーズアイドル主演の実写映画が公開された『ハニーレモンソーダ』(集英社)、『モエカレはオレンジ色』(講談社)などが人気を集めたが、『薬屋のひとりごと』(スクウェア・エニックス)、『うるわしの宵の月』(講談社)など映像化されていないヒット作も多かった。
コミック誌の販売金額は同3・8%減の537億円。15年以降は1割超減少することがほとんどだったが、22年は比較的小幅の減少にとどまった。内訳は、月刊誌が同3・5%減の260億円、週刊誌が同4・3%減の276億円。返品率は同1・9ポイント改善し43・3%。平均価格は同2・6%(10円)増の402円と400円の大台を突破した。創復刊点数はゼロで、ここ30年で初めて。休刊点数は同4点増の6点。年末時点の銘柄数は同6点減の185点だった。
コミック誌は、人気作品の完結など特定の話題、付録、グラビアやアイドル関連などのトピックによって単発で売れる号はあるものの、定期的に買う読者は減少傾向が続く。
電子コミック市場は、同8・9%増の4479億円。統計を開始した14年以降、海賊版サイトの影響が顕著だった時期を除きおおよそ2割以上の成長を続けてきたが、22年は1桁の伸びにとどまった。コロナ禍の巣ごもり需要が落ち着いてきており、各ストアの利用者は増えているものの課金して読むユーザーは定着しつつある。紙で人気の作品や映像化作品が電子でも市場を牽引。また、女性向けの作品を中心に、広告出稿をきっかけに電子からヒットする作品も目立った。
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