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売上高伸長率マイナス3・26%/前年割れは24年連続に/トーハン書店経営の実態
日時: 2019/12/30 19:55:56
情報元: 日書連

トーハンは、全国99企業591店舗の経営資料を集計分析した2019年度版『書店経営の実態』を発行した。これによると、平均売上高伸長率はマイナス3・26%(前年マイナス5・19%)で、24年連続のマイナス成長となった。
『書店経営の実態』は、売上高対経常利益率が0・0%以上の企業を「健全企業」、0・0%未満の企業を「欠損企業」として分析している。売上高伸長率をみると、健全企業がマイナス2・85%(前年マイナス4・75%)、欠損企業がマイナス3・81%(同マイナス5・78%)で、総平均でマイナス3・26%(同マイナス5・19%)と、24年連続の前年割れになった。
従事者1人当りの売上高は、健全企業が2266万4千円、欠損企業が2103万1千円で、総平均では2202万5千円と前年比42万1千円減少した。売場1坪当り売上高は、健全企業が143万6千円、欠損企業が120万4千円。総平均では134万1千円と前年比9千円増加した。
売上高対粗利益率は書店業界では20~23%が平均的といわれる。健全企業は24・64%、欠損企業は24・44%で総平均では24・57%(同24・01%)となった。
企業の営業力の指標といえる売上高対営業利益率は総平均でマイナス0・36%(同0・02%)。健全企業は0・33%だったが、欠損企業はマイナス1・54%。売上高対経常利益率は健全企業が1・08%、欠損企業がマイナス0・74%で、総平均は0・41%(同0・57%)になった。
売上高対販売費・管理費率は総平均で24・93%(同23・99%)。健全企業は24・31%、欠損企業は25・98%だった。また、売上高対人件費率は総平均で12・24%(同11・62%)。健全企業は12・20%、欠損企業は12・31%だった。
事業に投下された資本総額の回転速度を示す総資本回転率は、書店経営では約2回転が目安。総平均は前年と同じ1・69回で、健全企業が1・71回、欠損企業が1・55回だった。商品回転率は健全企業4・37回、欠損企業3・86回で、総平均は前年比0・01回減の4・19回となった。
粗利益対経費率は、販売費及び一般管理費が粗利益に占める割合をみるもので、収益が厳しい低成長期には特に重要になる。総平均では101・47%(同99・92%)で、健全企業が98・66%に対し欠損企業が106・30%だった。労働分配率は50%以下が目標とされるが、健全企業が49・51%、欠損企業が50・37%で、総平均では49・82%(同48・40%)になった。
従事者1人当りの粗利益高をみると、健全企業558万4千円に対し欠損企業514万円。総平均で前年比2万3千円増の541万2千円だった。
売上高対粗利益率に商品回転率を掛けた商品投下資本粗利益率は、収益性と商品投資効率を総合的に判断する指標だが、健全企業107・68%、欠損企業94・34%で、総平均では前年比2・11ポイント増加して102・95%になった。
流動比率は、1年以内に回収される資産である流動資産と、返済義務を負う流動負債のバランスをみることで短期支払い能力を表す指標で、130%以上の確保が望ましい。健全企業は163・73%、欠損企業は100・33%で、総平均は前年比7・56ポイント減の128・37%となった。
当座比率は、即座に現金化が可能な当座資産と流動負債のバランスを見る指標で、即時支払い能力を表す。健全企業は57・75%、欠損企業が26・18%で、総平均は同4・5%減の40・14%となった。
総資本に占める純資産(自己資本)の割合を示す自己資本比率は、健全企業が32・11%、欠損企業が15・59%で、総平均は前年比1・88ポイント増の25・66%だった。固定資産への投資が適正かを判断する尺度となる固定比率は、100%以下が目標。健全企業は118・84%、欠損企業は168・31%で、総平均は前年比14・24ポイント減の130・55%だった。
店舗単位での売上高伸長率は、前年のマイナス5・2%に対しマイナス3・2%と、前年に比べマイナス幅が縮小した。
売上高伸長率を売場規模別にみると、最も下げ幅が大きかったのが200~400坪未満のマイナス3・3%。立地環境別では、住宅地がマイナス3・6%と振るわなかった。売上規模別では、5千万円未満がマイナス5・9%と不振が目立った。地域別では、関東の下げが最も大きく、マイナス4・0%と落ち込んだ。
複合型書店の調査では、書籍・雑誌以外の売上構成が20%以上の店舗を複合型書店、20%未満を本専業店に分類。複合型書店の売上高伸長率を部門別にみると、レンタル複合店がマイナス4・9%、セルCD・DVD複合店がマイナス3・7%、文具複合店がマイナス1・7%、雑貨複合店がマイナス1・8%、その他の商材複合店がマイナス3・9%で、本専業店はマイナス3・3%だった。
2019年版『書店経営の実態』(B5判、42ページ、頒価税込み1540円)に関する問い合わせは、トーハン・コンサルティングまで。TEL03―3266―9623
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