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5・7%減の1兆2921億円/2018年紙の出版物販売額/出版科研調べ
日時: 2019/02/20 16:51:56
情報元: 日書連

出版科学研究所は2018年の出版物発行・販売概況を発表した。これによると紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比5・7%(780億円)減の1兆2921億円で14年連続のマイナスになった。販売金額の内訳は、書籍が同2・3%減の6991億円、雑誌が同9・4%減の5930億円で、雑誌はコミックスの減少幅が縮小し、2年連続の2桁減は免れた。
書籍の推定販売金額は前年比2・3%(161億円)減の6991億円。児童書、ビジネス書は前年並みだったが、文芸、実用、文庫、新書など主要ジャンルが減少し、全体では前年を下回った。しかし『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が引き続きヒットしたほか、『大家さんと僕』(新潮社)、『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)などテレビの紹介で販売が伸びた書籍が複数登場し、前年より減少幅は縮小した。ただ、16年や17年に刊行されて継続的に売れる本が多く、18年の新刊で象徴的な売行きを示す本は少なかった。
新刊点数は7万1661点で、同1・9%(1396点)減。内訳は、取次仕入窓口経由が同1・3%減の5万859点、注文扱いが同3・3%減の2万802点で、取次仕入窓口経由は6年連続減少となった。
出回り平均価格は、同1・0%(11円)増の1164円と4年連続で上昇。新刊平均価格は同0・1%(1円)増の1168円とほぼ前年並みに。金額返品率は36・3%で同0・4ポイント改善。取次が返品減少・効率販売を目指して新刊、重版とも送品部数を抑えている効果が表れた。
ジャンル別動向をみると、文芸書は芥川賞受賞の若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)、本屋大賞受賞の辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社)が50万部超のヒットになった。ノンフィクション・読み物では、『君たちはどう生きるか』が漫画版204万部、新装版52万5千部の大ヒットを記録。文庫は金額で約6%の減少と依然厳しく、東野圭吾、湊かなえなど定番人気作家や映像化作品以外は不振という状況が続く。
雑誌の推定販売金額は同9・4%(618億円)減の5930億円。内訳は、月刊誌が同9・3%(495億円)減の4844億円、週刊誌が同10・1%(123億円)減の1086億円。月刊誌をジャンル別にみると、定期誌は約9%減、ムックは約12%減、コミックス(単行本)は約7%減。コミックスは上半期(1〜6月期)は約15%減と大幅に落ち込んだが、海賊版サイト「漫画村」が4月に閉鎖し、大手出版社が4月以降に主要レーベルの新刊を順次値上げするなど下半期に上向いて、マイナス幅は縮小した。
推定販売部数は同11・2%減の10億6032万冊。内訳は、月刊誌が同11・1%減の7億5598万冊、週刊誌が同11・4%減の3億434万冊で、ともに2年連続の2桁減。平均価格は同1・4%(8円)増の574円で、部数減を価格上昇で補う動きが続いている。金額返品率は前年と同率の43・7%。内訳は月刊誌が同0・3ポイント減の44・3%、週刊誌が同1・9ポイント増の41・2%。
創復刊点数は同9点減の60点と過去最少に。その半数近くを分冊百科とパズル誌が占めた。休刊点数は同22点増の129点。コミック誌の休刊が相次ぎ、電子版に移行するものも多かった。不定期誌の新刊点数は、増刊・別冊が同162点減の3316点、ムックは同633点減の7921点。1号を1点としてカウントした付録つき雑誌は同972点減の1万1228点だった。
部門別に推定発行部数を見ると、〈女性〉は同12・8%減。9月に引退を表明した安室奈美恵を表紙に起用した雑誌は世代を問わず売行きが良かったが、その他はグッズ付録により単号が売れる傾向が顕著だった。〈男性〉は12・1%減と初の2桁マイナス。ストリートファッション誌が相次いで休刊したほか、20代〜30代向けやミドルエイジ誌も軒並み減少した。〈週刊誌〉は同8・7%減で、総合週刊誌の落ち込みが大きかった。
電子出版の市場規模は同11・9%(264億円)増の2479億円。内訳は、電子コミックが同14・8%増の1965億円、電子書籍が同10・7%増の321億円、電子雑誌が同9・8%減の193億円。電子コミックは17年後半から海賊版サイトやリーチサイトの影響で伸びが鈍化したが、「漫画村」が閉鎖されて以降、売上は復調傾向にある。電子書籍はライトノベル系の作品や、紙でよく売れたビジネス書や実用書、写真集の電子版が好調だった。電子雑誌は定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数が2年連続で減少したことが影響し、1割近いマイナスになった。
紙と電子の出版市場を合わせると1兆5400億円、同3・2%減。市場全体における電子出版の占有率は16・1%で同2・2ポイント増加した。
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