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首都圏栗田会総会で意見交換/商品供給で不安の声強く
日時: 2015/08/04 21:20:59
情報元: 日書連



首都圏栗田会は7月9日、東京・文京区の椿山荘で第7回総会を開いた。栗田出版販売が6月26日に民事再生手続き開始の申し立てを行ったことを受け、当初の予定を変更。総会終了後、取引先書店向け説明会、出版社を交えての交流会を実施した。
総会は今野英治幹事(今野書店)の司会で進行。あいさつした奥村弘志会長(南天堂書房)は「街の書店がどうやって生き残っていくか真剣に討議したい」と述べ、「個人的にはいつかこのようなことになるのではないかと心配していた。経営陣には叱咤激励、批判も言ってきた。感じていたのは、売上が下がる中で社員数が多い。そして自社ビルを売却して移転した事務所の賃料が高い。一番は、創業の栗田家から株を買い取り持ち株会社にしたにもかかわらず、経営陣をはじめ社員の意識が薄く、自社をどうしていくかという自覚と気迫が足りないこと」と苦言を呈した。そして、「我々は栗田とともに生きている書店。栗田一本の書店が多い。長い間、家庭的ないい関係を築いてきた。大阪屋と統合する第三極の新しい取次はこれまでと同じではなく、利益率の高い商品を扱う、自主仕入を強化する、棚貸しをするなど、もっと利益を生み出すことを考えなければ」と提案した。
栗田の山本高秀社長は「皆様に多大な迷惑をかけ深くお詫び申し上げたい」と謝罪し、「民事再生申立て以降、再生スキームについて返品の件で理解をいただけず、出荷停止している出版社も多い。大阪屋、日販を経由して対応している。弁護士、裁判所と協議しながら、新たな提案を準備しているところだ。直近の課題として、商品供給については一日も早く平時の状態に戻したい。全社員一丸となって取り組んでいる」と理解を求めた。また、中央経済社から特別報奨金付きセット企画、三笠書房とフランス書院から再生計画が決定するまで注文勘定を延勘にする応援の提案があったと報告。「再生に向け前に進まなければならない」と語った。
取引先書店向け説明会では、栗田の山本社長、下村賢一専務、森孝弘、高梨秀一郎両取締役と弁護士2名が、書店の質問に答えた。東北や関西の書店も出席した。書店からは新刊配本、客注品など商品供給に対する不安の声が多数あがった。これに対し、栗田側は「出荷停止出版社の一覧表を作成し、毎日更新して書店に送っている」「商品供給はまず大阪屋、そして日販にもお願いしている。それでも駄目なら、出版社から現金で買ってでも手配する」などと説明した。
交流会では、出版社を代表して双葉社の戸塚源久社長があいさつ。「栗田会会員書店が一生懸命読者に手渡してくれた本、出版社が熱意をもって作った本のお金が入らないのは悔しい。中小出版社はぎりぎりのところで踏ん張っている。栗田会の志ある書店とともに頑張りたい」と述べた。
講談社の森武文専務は「栗田の民事再生は書店を守るため、出版社の被害を最小限に食い止めるため必要な措置」と述べ、出荷停止を止めるよう呼びかけた。河出書房新社の小野寺優社長、大阪屋の大竹深夫社長、大阪屋友の会連合会の田村定良会長らが栗田と書店に応援の言葉を述べ、書店からは高島書房(福島県郡山市)の高島瑞雄社長、今野書店(東京都杉並区)の今野英治社長が出版社に協力を呼びかけた。
メンテ

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