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コミック推定販売金額2・7%減の3569億円/出版科研調べ
日時: 2015/05/02 16:47:57
情報元: 日書連

出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場2014」を特集。これによると、昨年のコミックス(単行本)、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比2・7%減の3569億円で、13年連続のマイナスになった。同レポートからコミック市場の動向を紹介する。

〔各分野でヒット作、2年連続プラス/コミックス〕
コミックスの推定販売金額は前年比1・1%増の2256億円。推定販売部数は同0・4%増の4億4038万冊で、金額・部数ともに2年連続でプラスとなった。
前年に大ヒットした『進撃の巨人』(講談社)の反動減が懸念されたが、少年向けで『ハイキュー!!』(集英社)、『七つの大罪』(講談社)、青年向けで『東京喰種(トーキョーグール)』『テラフォーマーズ』(いずれも集英社)、女性向けで『アオハライド』『今日は会社休みます。』(いずれも集英社)などジャンルごとにヒット作品が出た。
平均価格は同4円高(0・8%増)の511円。前年に比べて売行上位銘柄に青年向け作品がランクインすることも多く、平均価格を押し上げた。返品率は同1・2%増の28・4%。増税の影響や新刊点数の増加に伴い、実売率が鈍化した。
新刊点数は同4・4%増の1万2700点。内訳は雑誌扱いコミックスが同456点多い9937点で4年連続のプラスとなり、雑誌扱いのみで1万点目前まできている。
Webコミックレーベル「少年エッジスタ」から派生する青年向けコミックスシリーズ「エッジスタコミックス」(小学館クリエイティブ)が創刊されたほか、出版社を問わずスマートフォン向けに無料で漫画を閲覧できるサービス「comico(コミコ)」(NHNPlayArt)から単行本化作品が出てくるなど新しい動きがあり、点数を底上げした。
人気作品をジャンル別で見ると、青年向けでは『東京喰種(トーキョーグール)』『テラフォーマーズ』(いずれも集英社)がともに累計1000万部を突破。作家自身に根強いファンが多い井上雄彦の『バガボンド』(講談社)、本編の20年後の主人公を描いた『MASTERキートンReマスター』(小学館)や40年ぶりに新刊が刊行され既刊も復刻発売した『ベルサイユのばら』(集英社)などのリバイバル企画も好調だった。
女性向けは『進撃の巨人』のスピンオフ『進撃の巨人悔いなき選択』(講談社)が既刊2巻合計で125万部に到達。テレビアニメ化・実写映画化と続いた『アオハライド』(集英社)の最新刊は初版66万部で刊行。テレビドラマ化された『きょうは会社休みます。』(集英社)は最新刊が60万部を突破した。
少年向けはジャンプコミックスの『ハイキュー!!』が新刊の初版部数75万部で刊行し、テレビアニメ化に合わせて既刊の伸長も目立った。『銀の匙SilverSpoon』(小学館)はテレビアニメ化・実写映画化と続き、最新刊は初版120万部で刊行された。『弱虫ペダル』(秋田書店)はスピンオフ作品を含めて大ヒットした。
コミック文庫は、推定販売金額が同15・9%減の46億円、推定販売部数が同17・5%減の659万冊で、ともに15%以上の大幅なマイナスとなった。新刊点数は同37点少ない306点で7年連続マイナス。コミック文庫に収録されるような名作の電子コミック化が進んでいることもマイナス要因の一つとみられる。
コンビニエンスストアの占有が高い廉価軽装版の推定販売金額は同1・0%減の201億円。推定販売部数は同3・0%減の4139万冊。一方、新刊点数は同3・2%増の1413点となった。

〔金額・部数とも19年連続マイナス/コミック誌〕
コミック誌の推定販売金額は前年比8・7%減の1313億円。推定販売部数は同9・8%減の3億9755万冊と4億円を割り、ともに19年連続のマイナスとなった。月刊誌・週刊誌別に見ると、販売金額は月刊誌が同8・0%減の649億円、週刊誌が同9・3%減の664億円と、ともに700億円を割った。販売部数は月刊誌が同10・9%減の1億4131万冊、週刊誌が同9・2%減の2億5624万冊だった。
販売金額を読者対象別に見ると、月刊誌の子ども向けは同0・9%減の233億円、青年向けは同11・6%減の416億円。少年週刊誌は同8・5%減の451億円、青年週刊誌は同10・8%減の213億円。月刊誌の子ども向けは「妖怪ウォッチ」関連の雑誌に支えられて落ち込み幅は小さかったものの、それ以外は軒並み大幅な部数減となった。
14年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は同24点減の252点。創刊誌は同5点多い12点。休刊誌は同17点多い36点。『最強ジャンプ』(集英社)や『月刊少年ライバル!』(講談社)といった大手出版社のコミック誌のほか、1968年創刊の『プレイコミック』(秋田書店)が休刊した。
推定発行金額は同5・4%減の2097億円、推定発行部数は同7・4%減の5億9511万冊。発行部数の内訳を見ると、月刊誌は同6・8%減の2億5248万冊、週刊誌は同7・8%減の3億4263万冊だった。
月刊誌では『進撃の巨人』と入れ替わるように14年大きく部数を伸ばしたのが「妖怪ウォッチ」関連の雑誌。メダルやカードなどの付録を付けた『コロコロコミック』(小学館)は昨年の水準から倍増し、9月号は4年ぶりに100万部を発行した。14年10月〜12月期は110万部を超えた。週刊誌では、『週刊少年ジャンプ』(集英社)が人気長編作品の完結もあり260万部まで減少した。
平均価格は同7円(2・1%)アップの352円。内訳は月刊誌が同16円(3・6%)アップの469円、週刊誌が前年と同じで266円。

〔13年度は約30%増、市場の拡大続く/電子コミック〕
13年度の電子コミック市場規模は、インプレス総合研究所の発表ではケータイ向けと新プラットフォーム向けを合わせて前年比27・4%の大幅増で731億円。これに出版科学研究所が発表している13年の紙のコミックスの市場規模2231億円を足すと、13年のコミック市場は2900億円を超える市場だったと見られる。14年度の伸びが同様に3割前後だったと仮定した場合、電子コミック市場は900億円半ばに到達する。これに14年の紙のコミックスの市場規模2256億円を足すと、紙と電子を合わせたコミック市場は3200億円に達すると見られる。紙のコミックスの販売金額がピークだった05年の2636億円から2割以上市場が拡大していることになり、電子を含めたコミック市場が過去最大の規模になることは確実だ。
出版科学研究所は「電子コミックはコミック市場において大きな位置を占めるようになった。電子コミックはこれまでコミック誌が持っていた役割を担える要素がある。普段コミック誌を手に取らない読者であっても、知らなかった面白い作品に出会える機会が生まれ、新しいユーザーに電子コミックの習慣性(定期性)が根付く可能性が大いにある」と分析している。
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