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コミック市場、2・6%減の3669億円/『出版月報』コミックレポート
日時: 2014/04/08 10:18:18
情報元: 日書連

出版科学研究所発行の『出版月報』2月号は「コミック市場2013」を特集。これによると、昨年のコミックス(単行本)、コミック誌を合わせた推定販売金額は前年比2・6%減の3669億円で、12年連続のマイナスになった。同レポートからコミック市場の動向を紹介する。

〔『進撃の巨人』効果でプラス/コミックス〕
コミックスの推定販売金額は前年比1・3%増の2231億円。推定販売部数は同0・6%増の4億3856万冊で、金額・部数ともに3年ぶりのプラスとなった。
好調の原動力となったのが、『進撃の巨人』(講談社)の爆発的なヒット。12年末までの全巻累計部数は955万部だったが、13年春にアニメ化されて多くの新規読者を獲得、同年末時点で累計3000万部と1年間で新刊・既刊合わせて2045万部という驚異的な売行きを見せた。金額に換算すると約88億円と、13年のコミックス販売金額の4%を占める。『進撃』がヒットした原因について出版科学研究所は、(1)クオリティの高い映像化とネットを介した口コミ、(2)女性読者の獲得、(3)アニメ放映以外のテレビの影響――の3つを挙げ、これらは他の少年コミックスにも通ずる、昨今のヒットに不可欠なエッセンスだと指摘している。
この他の人気作品では、少年向けでは『暗殺教室』『黒子のバスケ』(ともに集英社)が同時に初版100万部に到達し、『暗殺教室』は7巻累計で705万部、『黒子のバスケ』は25巻累計で2400万部を突破した。『マギ』(小学館)は、第2期テレビアニメ効果もあり19巻累計で1368万部に達した。また、スクウェア・エニックスの無料Webマガジン「ガンガンONLINE」系の作品が12年に続き好調だった。
平均価格は前年比3円(0・4%)増の507円。『水木しげる漫画大全集』(講談社)など、過去の名作を高価な愛蔵版で発売するケースが目立った。返品率は同1・1ポイント減の27・2%。『進撃』の大ヒットで販売状況が上向きになったことや、大物新刊の初版部数も細かく部数調整するなど、無駄な送り込みをしない各社の姿勢が奏功した。
新刊点数は前年より195点減少して1万2161点と、4年ぶりにマイナスになった。雑誌扱いコミックスは同105点増の9481点で3年連続のプラスになったが、書籍扱いコミックスは同300点減の2680点と大幅に点数を落とした。ライトノベルのコミカライズ、スピンオフがここ数年増えているものの、ヒット作はごく限られた数に止まっている。
コミック文庫は、推定販売金額が前年比15・0%減の55億円、推定販売部数が同16・5%の799万冊で、ともに10%以上の大幅なマイナスとなった。新刊点数は前年より103点少ない343点で、6年連続の減少。同じ過去の名作を集めたコミックスでも、愛蔵版の方が好まれる傾向にあることや、旧作が電子コミックでまとめ読みできるようになったことも減少の要因と見られる。
コンビニエンスストアの占有が高い廉価軽装版の推定販売金額は前年比6・2%減の203億円。推定販売部数は同6・4%減の4268万冊だった。新刊点数は同33点減の1369点と2年連続マイナス。映像化関連が少なく、各社とも新刊刊行は控えめだった。

〔金額・部数とも18年連続減/コミック誌〕
コミック誌の推定販売金額は前年比8・0%減の1438億円。推定販売部数は同8・8%減の4億4075万冊で、ともに18年連続のマイナスになった。月刊誌・週刊誌別にみると、販売金額は月刊誌が同8・2%減の706億円、週刊誌が同7・9%減の732億円で、700億円台割れが視野に入ってきている。販売部数は月刊誌が同10・8%減の1億5853万冊、週刊誌が同7・6%減の2億8222万冊。
販売金額を読者対象別にみると、月刊誌の子ども向けは前年比5・8%減の235億円、大人向けは同9・3%減の470億円。週刊誌の子ども向けは同6・5%減の493億円、大人向けは同10・6%減の239億円となり、特に大人向けの落ち込みが目立った。コミック誌を定期的に購読する習慣がなくなり、単行本をまとめ読みする傾向が強まっていることに加え、ネットにおける無料コミックコンテンツの提供サービスが増加していることも影響している。
推定発行金額は前年比6・0%減の2217億円、推定発行部数は同6・8%減の6億4249万冊で、販売不振による部数引き締めが続いている。発行部数の内訳は、月刊誌が同8・3%減の2億7100万冊、週刊誌が同5・6%減の3億7149万冊。
月刊誌では、『進撃』が掲載されている『別冊少年マガジン』(講談社)が印刷証明付部数4万部から18万部まで大躍進。児童向けでは『コロコロコミック』(小学館)が『妖怪ウォッチ』、『ちゃお』(同)が『アイカツ!』と人気玩具の関連付録を付けたものが好調だった。週刊誌は伸びた雑誌がなく、『週刊少年ジャンプ』(集英社)も同275万部と、『ONEPIECE』の大ヒットで300万部に達していた頃より減少した。
平均価格は前年比3円(0・8%)増の345円。内訳は、月刊誌が同11円(2・4%)増の453円、週刊誌が同1円(0・2%)減の266円。
13年12月末時点での月刊誌・週刊誌を合わせた発行銘柄数は前年より12点減の276点となった。創刊誌は同2点減の7点、休刊誌は同5点増の19点。『漫画サンデー』(実業之日本社)など歴史のある雑誌が休刊したほか、『スーパーダッシュ&ゴー!』(集英社)など創刊から1年ほどで休刊する雑誌もあり、厳しさが一層増している。
メンテ

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