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出版物に軽減税率求める/税制を考える集い/議連と文活機構
日時: 2013/11/16 17:58:25
情報元: 日書連

活字文化議員連盟、子どもの未来を考える議員連盟、文字・活字文化推進機構は10月30日、東京・千代田区の衆議院第一議員会館で「文字・活字文化の発展と税制のあり方を考える集い」を開催。出版界、新聞界の代表らが、消費税増税に伴い検討されている軽減税率の適用対象に書籍、雑誌や新聞を含めるよう訴え、軽減税率を求める有識者アピールを発表した。日書連からは舩坂良雄会長、面屋龍延副会長、佐藤光弘理事、長谷川澄男理事が出席した。
会合の冒頭、活字文化議員連盟の細田博之会長(自民党幹事長代行)は「軽減税率は8%から10%に上がるときにきちっと対応しようというのが今の流れ。知的財産というべき出版物が軽減税率の対象になるかは皆さんの努力と世論にかかっている。議連の会長として期待している」と述べた。
子どもの未来を考える議員連盟の河村建夫会長(自民党選挙対策委員長)は「消費税増税で文化の根幹である活字文化が危うくなっている。政治が責任をもって考えなければいけない。出版、新聞の宅配制度と部数は日本が誇るべきもの。OECDの調査で日本の子供たちの学力低下が言われる中で、大人の世界では断トツで世界一という報告がなされた。それを担うのは活字文化、新聞文化。文化立国を標榜するなら、この力を落とすわけにはいかない」と話した。
このあと、東京大学大学院総合文化研究科教授の酒井邦嘉氏が「脳を創る出版文化〜軽減税率はなぜ必要か〜」と題して講演。「生涯にわたる読書や学習の蓄積が脳を創る。新聞、書籍、雑誌は知恵を与えるもの。出来るだけ多くの人が手に取りやすい環境にあることが必要で、軽減税率の導入が望ましい」と述べた。
作家の林真理子氏も講演。「読書離れ、図書館問題、電子出版、著作権問題と、作家はいくつもの難題を抱えて息も絶え絶えになっている。消費税増税で本が値上げになったらますます本離れに拍車がかかる」と述べ、出版文化を守るためには軽減税率が必要とした。
日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館)は「知の再生産の観点から言うと、新刊書店で本を買ってもらうことが作家の報酬になり、持続的に作っていく出版社の利益になる。これが崩れると素晴らしい読書環境が駄目になる。新刊書店で本が買いやすいためには軽減税率が必要。日書連の軽減税率を求める50万人署名は18万6546名集まった。数字だけではなく、消費税について店頭で読者に理解を求めていることに意味がある。多くの読者が出版物に軽減税率を適用することを求めている。署名運動の結果を政治に反映してほしい。出版業界は力を合わせて軽減税率に取り組む」と述べた。
日本新聞協会の白石興二郎会長(読売新聞グループ本社)は「新聞、書籍、雑誌は頭脳にとってのコメ。日本の文化、民主主義を守る必需品だ。これから与党内の調整が進むが、われわれは業界が足並みを揃えて軽減税率の適用を求めていく」と述べた。
「新聞の公共性に関する研究会」の戸松秀典座長(学習院大学名誉教授)が新聞への軽減税率適用の必要性について報告したあと、文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長が新聞、書籍、雑誌に軽減税率を求めるアピール文(別掲)を読み上げた。

〈軽減税率を求めるアピール〉(全文)
私たちは政府・与党並びに野党各党に対し軽減税率を導入し、新聞、書籍、雑誌に適用するよう強く要望します。
欧米諸国では新聞、書籍、雑誌の税率を低く抑える軽減税率が導入され、消費者にひろく支持されています。そうした出版物は、知識や思考を深める文化財として認識され、「知識には課税しない」という考え方が定着しているからです。
わが国においても新聞、書籍、雑誌については、ほかの商品と異なる文化的所産であると位置づけられ、出版者や新聞社が販売価格を指定する「再販売価格維持制度」を独占禁止法で認めています。この特例があるため、私たち消費者は全国どこに住んでいても、同じ値段で出版物が購入でき、世界でもまれな新聞宅配制度の恵沢をうけています。
出版物はまた、民主主義の発展に欠かせないものです。そのことは出版物の発行がきびしい制限をうけていた時代のことを想像するだけでも納得できましょう。人びとが等しく、さまざまな情報や知識を手に入れ、学びつづけることは、民主主義の力のもとであり、国力のもとなのです。
読書活動は、未来志向や論理的思考を養い、積極的に生きる力を育てています。私たちは、日本国民が将来にわたって、手軽に新聞、書籍、雑誌を手にできる軽減税率制度を早急に確立されるよう、ここに要望します。
メンテ

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