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【 公取委に調査依頼 】
日時: 2012/05/11 15:59:16
情報元: 日書連

 日書連は4月19日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。

トーハン、日販に「送品・返品同日精算」の実施をお願いしている問題で、今日まで進展が見られないことから、独禁法において規定されている「優越的地位にある者」による「濫用行為」の問題が生じていないか第三者に判断してもらうため、公正取引委員会に調査を依頼することを全会一致で決めた。

5月中に公取委審査局に文書で申告する。
 〔取引改善〕  日書連は平成20年6月、「送品・返品同日精算のお願い文書」を取次各社に送付し、取次の送品締日と書店からの返品入帳締日を同日にして請求書を起票するという考え方について見解を求めて以来、トーハン、日販の両社に対して送品・返品同日精算の実施を繰り返しお願いしてきた。

送品締日と返品入帳日の開きを段階的に縮めていく形での決着もやむを得ないと、取次側の事情にも配慮してきた。
しかし「努力はしているが、簡単に解決できる問題ではない」以上の回答を得ることはできなかった。

 平成23年3月、トーハンは「入帳締切日の基準日を現行の期末5営業日前処理分から期末4営業日前処理分に変更する。
適用は4月期入帳分とする」、日販は「4月中締分より返品入帳締切日を締日を含む6営業日前から5営業日前に1日短縮する」との回答を文書で寄せた。
しかし、日書連理事会は「同日精算の回答になっていない」として、「求めているのは返品入帳改善ではなく同日精算」であることを通告する方針を確認。
同年11月、大橋会長、柴ア委員長、大川専務理事が両社を訪問し、出版物小売業公正取引協議会の元永剛顧問が作成した「同日精算問題等の考え方」の文書を両社の社長に手渡して日書連の考え方を説明。
年度内の問題解決に向けて、平成24年2月末日までにこの文書に回答するようお願いした。
 この文書は、(1)請求日遡及問題(送品に係る商品の請求日が、実際に商品が書店に到着した日よりも前の日付とされる)、(2)返品入帳操作問題(返品の商品が指定場所に到着し、すでに取次で読み取り作業が終了しているにもかかわらず、その計上を遅くすることがある)、(3)同日精算問題(送品された商品が月末締めの翌月末支払いであるのに対し、返品については必ずしも一律ではないが概ね25日前後締めの翌月末日精算とされているため、月末5日間に送品された商品については翌月末の支払いとされるのに対し、同期間内の返品は翌々月末の精算とされ、1ヵ月以上遅れている)――の3点について、両社が独禁法上の「優越的地位にある者」として「濫用」を行い、同法第2条第9項第5号(別掲)の「ハ」の部分に違反する問題が生じ得るのではないかと提起したもの。
 これに対して、トーハンは「(1)の問題については、優越的地位濫用規制違反の問題が生じるものではないと考えている。
(2)は、指摘されている事実自体が存在しない。
(3)についても、優越的地位濫用規制に違反するものではないと認識している」と反論したが、同時に「もっとも、この問題につきまして、現状、書店様にご満足頂ける対応となっていないことにつきましては当社としましても重く受け止めておりますので、今後とも、運用改善に向けた検討を継続してまいる所存であります」と問題改善に向けた今後の努力にも言及している。
 日販も「(1)及び(3)については、現在の取り扱いは一定の合理性を有するものであり、直ちに『正常な商習慣に照らして不当』とは言えないと考える。
(2)についても、弊社には当てはまらない問題と考える」としたが、「もっとも、弊社としましては、出版業界の縮小に歯止めが掛からない昨今、重要なパートナーである書店様とともに出版業界を活性化させていく必要性を強く感じており、かかる問題につきましては、引き続き貴連合会と意見交換しながら、運用の改善に向けた検討を継続させて頂ければと考えております」と付け加えている。
 柴ア委員長は「苦境にある経営を改善するため、書店のキャッシュフローを書店に返していただきたいと、送品・返品同日精算の実現を4年間粘り強くお願いしてきた。
しかし今年2月末の回答でも日書連の主張するところは理解されず、誠意ある進展が見られなかった。
返品センターでデータ処理が迅速に行われている現状で、それに連動した入帳処理の改善も可能と思われるにもかかわらず、段階的な改善計画(ロードマップ)すら提示されない。
努力すると言うだけ」と両社の対応に遺憾を表明。
「回答を求めることはもうしない。
第3者にこの問題の判断を委ねたい。
優越的地位にある取次が濫用行為をしているのではないかと公取委にお尋ねをする。

申告書を作成し、5月中に公取委審査局に持って行く」と述べ、理事会は全会一致でこれを承認した。
 申告から行政調査や意見申述・証拠提出などを経て法的措置が確定する。
 【優越的地位の濫用の規定】(独禁法第2条第9項第5号)  自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
 イ、継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。
ロにおいて同じ。
)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
 ロ、継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
 ハ、取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。
メンテ

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