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デジタルフェアが盛況/前年比5割増の90社出展【東京国際ブックフェア】
日時: 2010/07/26 10:57:05
情報元: 新文化

大日本印刷(DNP)は7月8日、今秋に子会社のCHIグループと10万点のデジタルコンテンツを揃えた電子書店を開設すると発表、ブースでアピールした。同サイトは、CHIの子会社・図書館流通センターが運営するネット書店・bk1とも統合し、紙と電子の双方を販売する。

また、同社は9日、凸版印刷と、電子出版の環境整備を目的とした「電子出版制作・流通協議会」を7月27日に設立すると発表。活動内容は「電子出版・流通に関連する情報の共有」や「制作・規格・仕様などの協議」としている。DNPの福田健一副事業部長は「われわれが発起人となって、業界全体の標準仕様をまとめるために設立した。水平分業するために規格などを決め、情報共有していく」と話している。

凸版印刷は、「出版イノベーション2010」を掲げ、「マルチフォーマット」の展開を訴えた。日本国内では電子書籍の統一フォーマットが定まっていないが、同社の「コンテンツファクトリー」で、各フォーマットを中間XMLファイル化することで、さまざまなデバイスに対応していく。

廣済堂は、7月末からサービス開始となる、iPad・iPhone向け電子書籍の書店アプリ「Book Gate」を、特設ブースを設置するなどして精力的に訴えた。すでに五一社の出版社などと契約済みで、同アプリ上で電子書籍を販売していく。「Book Gate」で購入した電子書籍は、iPad・iPhoneの双方で閲覧可能となり、中心価格帯は450円〜1000円になる。初年度の売上げ目標は5000万円。また同時に、昨年の四月から展開している、iPhone・iPod touch向け電子書籍販売サービスの告知も行い、50社以上の出版社から約300タイトルの電子書籍アプリを販売していることをアピールした。

3年ぶりの出展となったグーグルは、規模も前回の1.5倍に拡大。グーグルブックスとグーグルエディションの紹介デモを繰り返し行い、熱心に聞き入る出版関係者でブースはあふれかえった。

NECは今年10月に出荷予定のAndroid搭載の情報端末「ラウドコミュニケーターLifeTouch」の試作機を展示。重さ約400グラム、7インチの画面は新書や文庫がほぼ原寸で表示できる。

同端末では電子書籍のほか、動画やゲームなどエンターテインメントのコンテンツに加え、ホームセキュリティ管理や通販カタログなどさまざまなアプリケーションが利用できる。フォーマットはePUB、PDFとNEC独自で開発した形式を使用する。端末の販売目標は2012年末までに100万台としている。

さらに、出版社などのコンテンツメーカーにはサービスプラットフォームも提供。通信会社と組んで、コンテンツ配信・課金システムをトータルでサポートする。

中国で電子書籍関連事業を行う北大方正集団の日本法人「方正」は、TIBF初日にIT事業を統括する北大方正集団高級副総裁の方中華氏がセミナーを行い、同社の電子端末を日本で販売したいとの意向を示した。販売時期は今年末から来年初めを予定。

中国における同社の電子書籍端末の売上げは昨年度に2位、国内シェアは10%を占める。端末の値段は4000元(日本円=約5万3000円)、電子書籍55万タイトルと新聞600紙などが閲覧できる。端末の価格には、3年間の通信費と書籍コンテンツ1万冊、新聞1紙のダウンロード費も含まれている。日本でも同じ仕組みで行うかは未定だが、出版社などと交渉していくという。

ボイジャーは10年以上連続してTIBFに参加し、ソフトウェア製作会社のセルシスとは07年から共同出展している。同社の萩野正昭社長は、TIBFはボイジャーの存在感をアピールできる重要な場であると強調し、「出展規模が小さくても毎年必ずでて、大きな声で話すのがボイジャーの姿勢。電子書籍で盛り上がっているが、今年も例年どおり」と話す。ブースでは一一のセミナーを開催。ITジャーナリスト・林信行、テクニカルライター・大谷和利の2氏によるセミナー「ITジャーナリストが考える電子出版」では集まった人でブース前の通路がふさがれるほど盛り上がった。

そのほか、各社ブースでは国立国会図書館の長尾真館長や、『電子書籍の衝撃』で注目された佐々木俊尚氏など、著名人や作家による電子書籍のトークショーが約60回にわたって行われた。

(本紙2010/7/15号掲載記事から)
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