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【 海外の出版・書店事情6 】
日時: 2010/06/02 11:07:43
情報元: 日書連 

[中国の出版・書店事情] 中国の出版業界は大転換期にあり、興味深い。

何故ならば先見性のあった毛沢東、周恩来、ケ小平等の考え方が具現化されつつあるからである。

中でもケ小平によってすすめられた市場経済は文化大革命から20年たってやっと、出版界に陽の目がさしてきた。

 つまり国営主義で貫かれてきた出版界に雪崩れ現象が始まった。

あれ程頑なであった国家管理による出版社であったものが、2008年末に50社の民営出版社が出来た。

今年中にあと100社前後誕生するものと思われる。

 07年現在、出版社数は579社(北京220社、北京以外359社)である。

新刊点数は13万6226点で、前年比6・1%増である。

定価総額は約9418億円(676億元)である。

雑誌は9486種発行され、定価総額は約2393億円(170億元)で、書籍と比較して雑誌の割合は低い。

この理由は、中国の雑誌市場では商業誌が少なく、官庁系の出版社が発行する業界誌が多いからである。

 中国の出版社の特徴に、専門性の強いことがあげられる。

出版社が専門分野に徹していることである。

08年に四川大地震があったが、地震出版社からは08年以前すでに日本の3倍の点数が発行されていた。

地震年鑑は毎年発行されている(98元・1700円、1200頁)。

気象出版社も農業出版社もある。

その他文学を専門とする人民文学社、社会科学書を専門とする人民出版社、青年を対象とする中国青年出版社などがある。

 もう一つの特色は出版社が独自の物流センターを持っていることである。

 電子出版物は8652種で前年比20%増である。

中国の書店状況も興味深い。

物流に関しては市場経済が2000年初頭から取り入れられ、民営書店が台頭してきたのである。

それ以前は国営書店である新華書店が全国を支配していた。

しかし現在は事情が全く違う。

 中国の国有書店(新華書店)は1万726店で、前年比2・8%減、それに対して民営書店は11万4965店(前年比3・9%増)で、書店数で断然国営書店を上回っている。

そして民営の物流センターは5946カ所あり、民営書店をサポートしている。

因みに国営の物流センターは16万7254カ所ある。

中国の出版界の要人に、民営書店について質問しても、顔をしかめ?なかなか実状を話してくれない。

国営書店の新華書店、外文書店、中国書店のことしか頭にない様である。

全国、新華書店の総売上は2兆500億円(前年比2・9%増)、販売冊数は113億6500万冊(同比4・2%増)である。

民営書店の売上の伸びは著しく、売上額は新華書店総額を上回るといわれている。

中国のベストセラーの中に「徳川家康」「窓ぎわのトットちゃん」が入っている。

ゲームソフトでは「信長の野望」がある。

 中国には4000坪以上の超弩級の書店が北京、上海、瀋陽、深川、大厦にある。

前回のアジアの書店の連載のときに北京図書大厦を紹介したので、今回は上海図書大厦にします。

 〈上海書城〉 とにかく上海書城は広い。

一階から七階まであり、店中央に幅広いエスカレーターが最上階まで通じている。

一・二階は吹き抜けなので、その分売場面積は他の階に比べて狭い。

それでも各400坪はある。

三〜七階は各700坪であるから、総計4300坪の売場である。

売場構成は次の通りである。

 一階:新刊、文藝、電子辞書、雑誌、インフォメーション 二階:文学史舘、文化典蔵、読者サロン 三階:人文社科舘、社会科学、人文科学、軍事 四階:文化教育舘、こどもの本、学参、辞書、教育書、言語 五階:科学技術舘、理工学、医学薬学、産業 六階:電子音像舘、CD、ビデオ、DVD 七階:芸術珍蔵舘、書道、絵画、レアブック 中国一の大型総合書店であるから、専門書は大量に揃っている。

読者から見れば本のアイテム数が多いので選書に時間がかかるのは当然である。

しかし読者はそれを楽しんでいるようである。

一番の圧巻は七階の藝術書売場である。

流石、書の国中国である。

歴代書家、名筆、書法の本がずらりと並んでいる。

貴重書はウインドウに収められていた。

レアブックコレクションも見事であった。

今年、上海万博に行かれたならば是非寄って欲しい書店である。
メンテ

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