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過去6年で赤字が増加 出版社1000社を分析/光和コンピューター・柴崎社長が講演
日時: 2010/04/13 18:10:27
情報元: 新文化

光和コンピューターはこのほど、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で第22回「光和出版セミナー」を開き、システムを提供する出版社など約100人が聴講した。セミナーは約2時間半の3部構成。第一講は同社の柴崎和博社長が「データで見る、出版社の経営状況」と題し講演した。同社は出版社システムや書店システムを提供する立場上、出版産業の経営実態を把握する必要性を感じ、毎年「売上高が2億円以上」の約1000社の出版社データを帝国データバンクから購入。2004年〜09年分のデータを分析し、“出版産業の姿”について説明した。

柴崎社長の講演要旨は次のとおり。

【出版社の黒字・赤字企業数の割合】

過去6年間の赤字出版社と黒字出版社を棒グラフで表示。04年の対象出版社数は530社。9割強が黒字、赤字は1割未満。以降、対象出版社の推移は05年が518社、06年が496社、07年が464社、08年が465社、09年が437社。09年には黒字が八割弱、赤字が2割強となった。対象出版社数が年々減少しているが、これは2億円以上の出版社が減少しているのではないか。年を追うごとに赤字出版社が増えている傾向も顕著。

【売上規模別 黒字・赤字企業の割合】

規模別に黒字・赤字出版社を四つの棒グラフで表示した。規模別は〈100億円以上〉、〈50億円以上〜100億円未満〉、〈10億円以上〜50億円未満〉、〈5億円以上〜10億円未満〉となる。

売上高が〈100億円以上〉の出版社の場合、分母に変化はみられないが、とくに08・09年と赤字が増加している。これは講談社と小学館の赤字の影響が大きいと推察される。両社は黒字でも赤字でも統計的なインパクトを与える。また、このクラスは常に売上高100億円以上を維持しているといえる。

〈50億円以上〜100億円未満〉の出版社も分母は減っていない。取引があるこのクラスの出版社も含めて感じることは、中堅では専門出版社の比率が高まることである。専門分野で基盤を固め、堅実な経営で安定的に数字を残している。そうした出版社が多いと推測できる。

〈10億円以上〜50億円未満〉の出版社の場合、09年に赤字が急増している。対象となる出版社は04年の232社に対し、09年は195社になった。

〈5億円以上〜10億円未満〉の出版社は04年の219社に対し、09年が159社と分母が徐々に減少。5億円割れの出版社が増えてきているのがその要因ではないか。

【売上規模別 売上高税引き後利益率の推移】(3期分)

〈5億円以上〜10億円未満〉と〈100億円以上〉の出版社の落ち込み幅が大きく、利益面はマイナス成長になった。講談社と小学館の影響が大きく、ここ3年間で急降下した。

一方、〈50億円以上〜100億円未満〉の出版社は2%台の利益率を確保し、健闘している。経常利益率ベースでは4〜4・5%に相当。日経新聞に掲載される上場企業の三月期決算でも経常利益は5%ぐらい。4〜4・5%を計上していれば、一般的には優良企業といえる。

【出版社の売上高税引き後利益率】

とくにここ3年は利益率が2・5〜0・5%に急落。講談社、小学館の経営数値が業界にインパクトを与えている。それを除くと、1・3%程度で下げカーブは少しなだらかになる。

【2期連続 増益企業】(09年度の黒字企業)

赤字出版社が増加するなか、伸びている出版社があることも確か。2期連続で黒字を計上した出版社は合計54社。内訳は〈100億円以上〉が3社(増収増益=1社)。〈50億円以上〜100億円未満〉が5社(同=2社)、〈10億円以上〜50億円未満〉が26社(同=13社)、〈5億円以上〜10億円未満〉が20社(同=6社)となっている。


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