出版・書店 業界 NEWS BOOKSルーエ


出版書店 業界NEWS TOPへ > 記事閲覧           新文化 定期購読 受付  

小学館、新たに4点で責任販売委託販売併用
日時: 2009/03/12 11:38:43
情報元: 新文化

小学館グループは2月27日、主に取次会社の仕入・物流部門の関係者を招いて、「出版物・第一期RFタグ導入」打ち上げ会を東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で開いた。その席で、小学館マーケティング局の市川洋一ゼネラルマネージャーは「3月1日以降の来期にRFID(ICタグ)を用いた責任販売と委託販売制の併用による新企画を四点考えている」と新たな施策を公表した。

市川GMの説明によると、七月発売の単行本『日本のクオリア(仮)』(7日発売・本体1500円、茂木健一郎著)、『小学館の図鑑NEO+「くらべる図鑑」』(8日発売・本体1900円)、『星の地図館「太陽系大地図」』(15日発売・本体5800円)の3点と11月発売の『世界大地図(仮)』で実施する。具体的な実施方法の説明はなかったが、「これからも書籍でこれはと思う新企画で複数条件を試していく。それが活気ある売場を生み、返品減の一助になればと思う。現状では、(RFID導入による作業において)目視や請求、精算など解決すべき課題はあるが、アイデアを出し合って業界のためにご協力をいただきたい」(市川GM)と積極的な姿勢をみせた。

会では、冒頭に昭和図書の大竹靖夫社長が挨拶。RFID導入による責任販売と委託販売併用の目的について、「返品を減少させ廃棄処分を少なくすることが出版界の活性化になる」と改めて強調。さらに、出版社や取次会社で責任販売や買切り・時限再販などの新たな取組みが進むなか、「この秋口に新しい販売施策のオリンピックを開けないかと思う。新しい売り方のすべてが種目。オリンピックといったのは、参加することに意義がある。つまり、書店も取次会社も出版社もどこかの種目に参加してほしい」と呼びかけた。

会に先駆けて、昨年に実施した『ホーム・メディカ 新版・家庭医学大事典』の反省会を開き、実施結果をつづった報告書をまとめた。今後の課題としては、「今回の正味35%は出版社にとっては微妙な数値。今後は商品にもよるが、35%を基準とすると難しい。最低30%は必要だが、細かい検討が必要」と報告。そのほか、「請求システムにおける一物二正味への対応の難しさ」などの課題を残した。

販売状況においては、「モチベーションがあがった書店やチェーン店が多数あり、予想より多くの予約・申込みがあった。高マージンを原資に外商を積極的に行っていた」と高マージンの効果を報告。その一方、「責任販売制の追加注文をしたかったなどの声があった」と注文締切りのタイミングが早過ぎたという。

出荷業務におけるRFIDの効果については、「昭和図書における読み取りは良好」だったが、栗田を除いた各取次会社はリーダを設置しなかった。そこで「注文品と同様の作業となったため、作業負荷が大きくなった。そのなか、トーハンは業務スタッフを昭和図書に派遣して仕分け作業を行った」と新たな協業のかたちもみられた。リーダを設置した栗田では注文品の運用と比べ、「負荷は非常に小さい」と報告。今後は栗田の経験を活かし、作業手順を検討していく。

返品に関しては、特別定価期間が終了する今年5月に集中するとみており、6月以降に最終評価を行う。現時点では昭和図書への委託商品の返品の中に責任販売制商品が四冊混入。昭和図書のリーグによって発見され、改めて識別に有効であることが分かった。

書店においては、条件の異なる商品の混在が店頭で混乱を招くことはなく、読者からの質問・クレームもなかったという。試験的にRFIDリーダを導入した店舗でのタグの読み取りにも問題はなく、「レジと一体化した運用」が今後の課題として挙げられた。


メンテ

Page: 1 |