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日書連近畿ブロック会、大阪で流通・取引シンポ開く/支払いサイト問題など取次批判も続出
日時: 2009/03/03 08:11:19
情報元: 新文化

日書連近畿ブロック会は2月13日、筑摩書房・菊池明郎社長と日書連・柴崎繁副会長(東京・王様書房)を講師に招き、大阪市内のホテルで講演会を行った。第2部ではカペラ書店・秋末勝社長を交えて「公正取引委員会のレポート」について3氏によるシンポジウムを実施。大阪・京都・兵庫・滋賀・和歌山・奈良組合の書店員など約70人が参集するなか、ドイツの出版・流通事情や日本出版界の取引慣行、再販問題などを掘り下げて議論した。
冒頭、面屋龍延会長(大阪・清風堂書店)は「いまは、中小書店だけでなく大手も苦しい。我われ書店が1日でも長く営業できるようこの会を催した」と挨拶した。

菊池社長は「理想の流通システムについて」と題してドイツの取次会社、リブリの現状を説明。書店数は6000店。出版社数はその約3倍の1万7000社。18カ月の時限再販・原則買切り制を運用するドイツでは見計らい配本がなくすべて注文扱い。返品率は書店からリブリへは7%、リブリから出版社へは3%だという。マージンは取次会社8〜10%、書店35%。書店にはリブリから端末が無料で貸与され100%電子発注。午後6時までの注文は12時間以内に配送され翌日には書店に着荷していると伝えた。
菊池社長は日本でも一定期間の時限再販を導入しながら原則買切りで「書店マージンを35〜40%にしたい。残った店頭在庫は歩安入帳する仕組みを筑摩としても具体的な企画にして送り出したい。他の出版社もその気はある。返品が40%を超すような現状がいいわけがない。再販や委託の良さを残しながらも、改良しなくては」と語った。
また、ドイツ出版連盟が運営する書籍業学校については、書店員は3年間見習い店員として働き、その間18週間に及ぶ集中講義を全寮制で受講。3年の期間を終了した後、国家試験に受かると「専門書籍業者」の資格が得られる。ドイツでは書店人の80%がこの資格の取得者で自主仕入を行う基盤が作られていることを説明。また、人口8000万人に対して4600館ある図書館が読書推進の役割を果たしている現状も伝えた。

柴崎副会長は「支払サイト・配本パターンの書店格差について」と題し、取次会社との取引実態を報告。同副会長はまず、「書籍流通は雑誌の配送システムのうえにできたもので注文品一冊だけでは送れない。かつて客注短冊を作ったが書店は狼少年で信用をなくした」と切り出した。
また、文庫の配本パターンについては「出版社が決めている」とし、大手出版社五社で「配本ランク上位の商品はもう出ていないのにランクは以前のまま。いま中心となっている商品は下位ランクになっており、小規模書店には一冊も来ない」と指摘。「書籍に至ってはもっとひどい状況」と語った。
さらに「取次会社は売れない本ばかり送ってきて100%入金しろという。商流のうえでは委託じゃない。3月、9月になると2年前の売れない本がいまだ勝手に送られてくる」「出版社と取次会社の間は委託だが、倒産するとある日突然、買切りになる」「ある取次会社は一方的で不公正な内容で、すべての書店と約定書を結ぶと言い出している。奴隷契約ともいえる」など、公取委に対して3時間にわたり事情説明した経緯も含めて、出席した書店員に熱く語った。

続いて、20坪の売場で外商を柱に営業しているカペラ書店の秋末社長は「あくまでも私見」と断わったうえで、注文品の遅れや翌月全額入金の強要を指摘し、3者間の支払サイトが不平等であると述べた。また、昨年6月に公取委がまとめた流通・取引慣行のレポートを紹介し、「大取次会社は雑誌と書籍の販売会社に、かつ東日本と西日本とに4社分割すべき」と提案。さらに、隆祥館書店・二村善明氏が「送・返品の同日清算」を強く訴えた。

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