私も恩田さんと同じ頃、この歩行祭に参加していました。
もう２０年以上前になるので確かな記憶ではなかったのですが、この小説を拝読して、「あっ！そういえばそんなことあったな」とか「そうそう！あの光景は綺麗だったな！」等々いろんなことを思い出しました。
足は豆だらけ、体も完全に疲弊してて家に帰って眠ろうとするんだけど、神経の何処かが興奮しててなかなか寝付けなかったことを覚えています。
あの行事にこれだけのドラマとストーリー性を盛り込んだ手腕は見事だと思います。
恩田さん（多分私より先輩ですが）の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。